2004 Fiscal Year Annual Research Report
LHC実験のためのQCD高次補正を含むイベント・ジェネレータの開発
Project/Area Number |
14340081
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Research Institution | High Energy Accelarator Reseach Organization |
Principal Investigator |
清水 韶光 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20011744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 節弥 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (40152996)
金子 敏明 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (40177522)
湯浅 富久子 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助教授 (00203943)
石川 正 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助教授 (90184481)
藤本 順平 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (90202291)
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Keywords | QCDの摂動計算 / 高次補正 / イベント・ジェネレータ / 自動ファインマングラフ計算システム / LHC実験 / soft / collinear近似計算 / ループ補正 / パートン・シャワー |
Research Abstract |
本研究では、QCDの摂動計算により高次補正まで含んだイベント・ジェネレータを作成する基本的な方法を確立した。さらに、実際に簡単な物理過程(ドレル・ヤン過程、即発光子生成過程)についてのイベント・ジェネレータを作成した。ターゲットとなるプロセスの高次補正のうち、一つのループを含む散乱振幅を計算するプログラムを自動生成する。現在自動ファインマングラフ計算システム、GRACE、では電弱相互作用におけるループ・ダイアグラムの自動計算システムがほぼ完成しており、種々の物理解析のための計算が行われている。これをQCDでのループ振幅の計算に対応するように変更を行った。最低次の散乱振幅に対する高次補正としては、ループ補正の他に、終状態に1つ多くの粒子生成を含むツリー・ダイアグラムの補正がある。この散乱振幅も、GRACEを利用して容易に生成する事が出来る。ループを含むダイアグラムの計算には、ループの中を回る運動量での積分(所謂、ループ積分)を行う必要がある。3つ以下の外線の足を持つループ積分に関しては、容易に遂行することが出来て、これはプログラム化してGRACEシステムに組み込んだ。4つの足を持つループ積分(ボックス積分)については、これを超幾何関数で表現する事が出来る。その計算を数値的に行う2種類のプログラムの開発を行った。一つは、複素平面上での数値的積分による方法で、赤外の発散の無い場合には、容易に行うことが出来る。もう一つは、赤外発散をさける為に、時空の次元を4次元から無限微少量だけずらし、超幾何関数をこの無限微少量のベキで展開して漸化式で表す方法である。後者の方法によりボックス積分を計算するプログラムを作成し、GRACEに組み込んだ。QCDの摂動計算では、計算の途中で数々の発散項が現れる。それらは、最終的な結果では、お互いにうち消し合って有限の数値となる。このsoft/collinear近似計算は、エネルギーゼロの粒子や、二つの粒子が同軸上に生成されるときに現れる発散を含む計算となっている。この発散は、ループ補正と後に述べるパートン・シャワーから来る発散と打ち消し合い、有限の結果を出す事になる。この発散が、正しくうち消し合うかを確認することは、我々の計算が正しいものかをチェックする良い手段となっている。soft/collinear近似計算は、始状態・終状態の粒子の組み合わせによっていくつかの場合に分類されるが、そのすべての場合についての、発散項と有限の補正を与える項を計算する必要がある。本研究では、1ループ補正を超える補正を組織的に取り入れる方法として非主要対数補正項を足しこむパートンシャワーモデルの開発も行った。本研究の成果により、高次補正を含んだイベント・ジェネレータの作成に関して、その方法を確立し必要な要素開発をほぼ終える事が出来た。
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Research Products
(6 results)