2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波を用いた2層系量子ホール状態における巨視的量子コヒーレンスの観測
Project/Area Number |
14340088
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
澤田 安樹 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (90115577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133925)
中島 龍也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70281962)
鈴木 勝彦 宮城工業高等専門学校, 総合科学系数理科, 教授 (80187715)
平山 祥郎 NTT物性科学基礎研究所, 量子物性研究部, グループリーダー
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Keywords | 量子ホール効果 / 複合ボソン / 複合フェルミオン / 層間コヒーレンス / 活性化エネルギー / ガリウム砒素 / 擬スピン / スピン |
Research Abstract |
2層系v=1量子ホール状態において、2層に電子が分布した状態を擬スピン(2層のどちらに存在するかをスピンの方向に対応させる)で記述できる。巨視的量子コヒーレンスが存在するので、面内磁場を加えると面内磁場によって擬スピンの位相が変わる整合相と、交換相互作用によって擬スピンの方向が揃う非整合相が出現する。我々はこのふたつの相の境界をトンネリング・ギャップ12Kと32Kの試料を用いて、磁場に対して試料を傾けて丹念に調べたところ、新たにスピン格子相があることを見出した。スピン格子相は一定の間隔で擬スピンの位相が2πとぶドメイン構造を持つ。スピン格子相では、ドメインでの電子の散乱により零度でも有限の磁気抵抗が生じる。面内磁場を増やすと低電子密度では、整合相からスピン格子相を経て非整合相へ転移し、それらの転移は2次相転移となる。また高電子密度で起こる整合相から非整合相の転移は、1次相転移であることが明らかになった。さらに高電子密度では、整合相から非整合相へ転移する。 さらに2層系v=1量子ホール状態の面内磁場と電流の相関を調べた。面内磁場によるアハラノフ・ボーム効果によって擬スピンは磁場変調をうける。その結果、電子密度の濃淡が生じ、抵抗を生じる。その結果、面内磁場と電流の方向による異方性が生じる可能性がある。試料の2軸回転装置を製作して実験を行った結果、電流と磁場方向による異方性を見出した。異方性は磁気抵抗の大きなバランス状態のv=1状態の周辺で顕著であった。また分数領域や整数の高いランダウ準位の領域にも異方性が見られた。今後さらにトンネリング・ギャップの異なる新しい試料を用いて実験を行ってこの現象の全貌を明らかにする必要がある。またこの異方性を説明する理論を構築する必要もある。
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Research Products
(6 results)