2005 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー場におけるメゾスコピック系の非線形ダイナミクス
Project/Area Number |
14340115
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北畑 裕之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20378532)
|
Keywords | 非平衡開放系 / レーザー / リズム / パターン形成 / 分子機械 / レーザートラップ / 反応拡散系 / 相分離 |
Research Abstract |
生命体をはじめ、原子・分子から星雲の形成にいたるまで、様々な階層において、非線形・非平衡現象は極めて一般的な事象である。これまで、非線形・非平衡の分野では、Belousov-Zhabotinsky反応を代表とする反応拡散系の実験的・理論的研究などが進展してきているが、対流などの集団運動が本質的となる系や、温度勾配が影響する系については、研究が立ち遅れている。しかし、反応・拡散に留まらず、実際の対流や温度勾配が結合した物理系の基盤を理解することは、基礎物理学的な意義が大きい。そのためには、定常的な非平衡開放条件を作りだし、境界条件を容易に制御することのできる実験系を構築することが極めて重要になってくる。本研究課題では、集光したレーザー場を利用して、物体をトラップしながら、光子の流速による非平衡開放条件下で引き起こされる動的な非線形現象について、実験モデル系の確立、理論的基盤の構築を目的として研究を進めた。 その結果、定常的な集光レーザー場中における高分子の周期的構造変化、レーザーにより誘起されるマイクロメートルスケールの相分離現象、レーザーエネルギー注入による液滴の自発的運動などを引き起こす実験系を構築できた。これらは光エネルギーを注入源とする非平衡開放場であると捉えることにより、非線形微分方程式で記述可能であることを示した。このような定式化により、実験系の制御やデザインができるようになってきている。理論的考察を通じて、非平衡開放条件下、自発的にリズムやパターンの生成する現象についての、新奇なシナリオを構築することに成功した。
|
Research Products
(7 results)