Research Abstract |
前年度開発したモード同期Yb^<3+>:Y_2O_3セラミックレーザーの性能向上,安定化を行った。Kerrレンズモード同期に最適なコンポジットセラミックス,共振器の設計を行い,現在実験を行っている。同じsesquioxideのYb^<3+>:Sc_2O_3,Yb^<3+>:Lu_2O_3などのセラミックス試料作製を最適化し,品質を向上した。レーザー発振実験,吸収・発光スペクトル測定測光を行い,Yb^<3+>:Y_2O_3との比較を行った。特にLu_2O_3はYb^<3+>添加による熱伝導率低下が小さいため,高平均出力フェムト秒レーザーとして有望である。最近Yb^<3+>:Lu_2O_3セラミックレーザーのモード同期に成功しており,平均出力40mW,パルス幅約1psが得られている。 セラミック材料として,YAG, Y_2O_3などの比較検討を,分光学,熱特性,機械特性など多面的な観点から推進した。その結果,多結晶体で構成されるセラミックレーザー材料は,単結晶に比べて3倍以上の熱衝撃パラメータを持つことが実験的に証明され,高密度励起,高出力レーザーに優れた特性を持つことが判明した。さらに,無添加セラミックを希土類添加セラミック材料に接合させたコンポジット型セラミックの開発を行い,イオン拡散の測定から,従来,単結晶に応用されていた拡散結合技術に比べてイオン拡散距離は5倍以上となって,きわめて強固な結合が実現されることを実証した。これらの特長を最大限活用できるアクティブミラーレーザー・増幅器こそナノ秒・フェムト秒パルスのパワースケーリングの最適な方法であるという結論に達し,モデル計算を行っている。 また本研究の周辺研究として,マイクロチップYAGセラミック自己Qスイッチレーザー,YAGセラミックスの946nm発振,セラミックス原料のナノ結晶を用いたランダムレーザーなどの研究も行った。
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