2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島下の表層・地殻・最上部マントル高解像度地震波速度不連続面の研究
Project/Area Number |
14340131
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平原 和朗 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40165197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田所 敬一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (70324390)
古村 孝志 東京大学, 地震研究所, 助教授 (80241404)
澁谷 拓郎 京都大学, 防災研究所, 助手 (70187417)
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Keywords | レシーバ関数 / 地震波不連続面 / スラブ / 410km地震波速度不連続面 / 660km地震波速度不連続面 / 広帯域地震波形 / アレー解析 |
Research Abstract |
本年度は、主として日本(F-net, J-array)と韓国地質調査所(KIGAM)により観測が行われている広帯域地震観測網のデータを用いて、遠地地震波形のレシーバ関数(RF)解析により、上部マントル不連続面、すなわち沈み込む太平洋プレート上面、410kmおよび660km地震波速度不連続面の形状を、日本列島から朝鮮半島-帯にかけて調査した。 太平洋プレート上面は深さ200kmまではかなりはっきりと認識でき、地震活動とも良い一致を示している。また、それ以深では200kmまでと比較するとやや不明瞭になるが、深さ600kmまで確認できた。昨年度調べたフィリピン海プレートについては、長い波長の波を用いているのであまりはっきりしていない。 410km不連続面は比較的フラットで長波長の凹凸は見られないが、太平洋プレート内部では局所的に30km上昇しているように見える。これは、410km地震波不連続面がオリビンから変形スピネルへの相転移で生じ、正のクラペイロン勾配を持っことを支持している。また、太平洋プレートのように年代の古い冷たいスラブでは相転移が遅れて生じ準安定状態になり、複雑な相転移形状をすることがこれまで示唆されてきたが、我々のRF解析では検出できなかった。 660km不連続面については、東から西方へ長波長で凹部を形作り、その下降量は50kmに達する。660km不連続面が負のクラペイロン勾配を持つスピネルからポストスピネルへの相転移だとすると、プレート内部およびその周辺で局所的に下降するだけであるが、このように長波長で下降することにはならない。地震波トモグラフィーから、スラブが660km不連続面あたりで滞留していることが示唆されており、この滞留した冷たいスラブにより660km不連続面が長波長で下降していると考えると、RFの結果は説明がつく。
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