2003 Fiscal Year Annual Research Report
海洋深層における乱流拡散率のグローバルなマッピング
Project/Area Number |
14340136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日比谷 紀之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80192714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽角 博康 東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (40311641)
磯田 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (10193393)
吉田 次郎 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (30174931)
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Keywords | 乱流拡散係数 / 緯度依存性 / 深層海洋大循環モデル / 内部潮汐波 / 内部波スペクトル / エネルギーカスケード / 近慣性流シアー / 投棄式流速計 |
Research Abstract |
将来の正確な気候変動予測の鍵を握る深層海洋大循環モデルの高度化に向けて、その最大の不確定要素である密度躍層内での鉛直乱流拡散係数の空間分布を解明するため、我々は、投棄式流速計(XCP)を用いた観測を北太平洋をはじめとする各大洋に展開し、得られた10mスケールの鉛直シアー強度をGregg(1989)のパラメタリゼーションの式に代入することで、鉛直乱流拡散係数を見積もってきた。本年度は、現在までに集積したこれらの乱流観測値を、その主要なエネルギー源である内部潮汐波エネルギーの計算値と関連づけることで、各緯度・経度の内部潮汐波エネルギーの値から、その場の鉛直乱流拡散係数を予報する実験式を作成した。 緯度35゜以上では、M_2内部潮汐波の周波数が局所的な慣性周波数の2倍以下となるため、深海の内部波スペクトル内での主要なエネルギーカスケード機構であるparametric subharmonic instabilityの機構が働かない。この結果、海嶺や海山の近傍で多くの内部潮汐波エネルギーが与えられても、鉛直乱流拡散係数は小さいままである。これに対し、緯度20゜から30゜では、このparametric subharmonic instabilityの機構が働くようになるため、内部潮汐波エネルギーの増加とともに、鉛直乱流拡散係数は大きくなる。一方、緯度20゜以下では鉛直乱流拡散係数は小さく、特に、赤道では分子拡散レベルとなってしまう。 次に、現実的な海底地形、密度成層、潮汐流を考慮した高精度の数値実験から得た内部潮汐波エネルギーの空間分布の情報をこの実験式に代入することで、深海における鉛直乱流拡散係数のグローバルなマッピングを行った。その結果、鉛直乱流拡散の強い海域(乱流ホットスポット)が、緯度30゜より赤道側の海嶺や海山の近傍に限られる様子が明瞭に再現された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hibiya, T., M.Nagasawa: "Latitudinal dependence of diapycnal diffusivity in the thermocline using a finescale parameterization"Geophysical Research Letters. 31・1. L01301,doi:10.1029/2003GL017998 (2004)
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[Publications] Hibiya, T.: "Internal wave generation by tidal flow over a continental shelf slope"Journal of Oceanography. (In press). (2004)
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[Publications] Niwa, Y., T.Hibiya: "Three-dimensional numerical simulation of M_2 internal tides in the East China Sea"Journal of Geophysical Research. (In press). (2004)
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[Publications] Katsumata, K., T.Hibiya: "Frictionless generation of a tidal Eulerian residual flow over a sill in a narrow channel"Journal of Oceanography. 59・3. 325-329 (2003)
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[Publications] Yoshida, J., H.Nagashima: "Numerical experiments on salt finger convection"Progress in Oceanography. 56・3. 435-459 (2003)
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[Publications] Komuro, Y., H.Hasumi: "Effects of surface freshwater flux induced by sea ice transport on the global thermohaline circulation"Journal of Geophysical Research. 108・C2. 3047,doi:10.1029/2002JC001476 (2003)