2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坪木 和久 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教授 (90222140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里村 雄彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20273435)
篠田 太郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助手 (50335022)
上田 博 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80184935)
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Keywords | メソ対流系 / 数値モデル / 雲 / 梅雨 / シミュレーション / データ同化 / レーダー / 豪雨 |
Research Abstract |
本研究は雲を解像する数値モデルを用いて、台湾および韓国の研究者と緊密な協力のもとに東アジアの湿潤な大気環境に発生し長続きするメソ対流系のシミュレーション実験を行なうことが主な目的である。 本年度はまず、雲解像モデルの高度化を行なった。具体的には、広域のシミュレーション実験が可能なように、モデルに地図投影を導入した。これにより地球の曲率による歪みの効果を取り入れることができるようになった。側面境界条件の改良を行ない、ネスティングがより正確にできるようになった。雲および大気による放射の物理過程の導入を検討した。さらにドップラーレーダーのデータをナッジングにより同化する方法をモデルに導入し、いくつかのテストを行なった。これにより特に積乱雲などの降水システムについてナッジングを行なった方が、より現実的なシミュレーションが可能であることが示された。 開発されたモデルを用いて、毎日の継続的な予報実験を行なった。初期値および境界値のデータは気象業務支援センターからインターネットを介して自動で転送し、モデルのプリプロセッサを用いてそのデータをモデルの格子点に内挿し、ソルバーが自動に実行されるようにした。これにより毎日の実験を行ない、モデルが安定して実行されるごとが示された。 暖候期にみられたメソ対流系についてのシミュレーション実験を行なった。日本付近に接近した台風についてのシミュレーション実験を行ない、計算領域の外にあった台風が、境界の強制により計算領域内にスムーズに入り込むことが示された。さらに計算領域内で降雨帯を発達させることが示された。その降雨帯の形成には冷たい雨のプロセスが降水の強化を起こしており、特にあられの形成が雲水を効率良く集積していることが示された。また、韓国の研究者を招聘し、朝鮮半島に豪雨と洪水をもたらした台風にともなう降水システムについてのシミュレーション実験を行なった。これにより台風の降雨帯が朝鮮半島南端部に接近した時に、地形の強制により非常に強い降水が形成されることが示された。また、同時に朝鮮半島中部にある南北にのびる山脈によっても降水の強化がみられた。これらが実際に観測された豪雨に対応していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsuboki, K., A.Sakakibara: "Large-scale parallel computing of Cloud Resolving Storm Simulator"High Performance Computing. 243-259 (2002)
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[Publications] 金田幸恵, 坪木和久, 武田喬男: "東海豪雨のメカニズム:その雨をもたらしたもの"天気. 49. 619-626 (2002)