2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坪木 和久 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教授 (90222140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里村 雄彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20273435)
篠田 太郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助手 (50335022)
上田 博 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80184935)
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Keywords | メソ対流系 / 数値モデル / 雲 / 梅雨 / シミュレーション / 階層構造 / 地球シミュレータ / 豪雨 |
Research Abstract |
昨年度、高度化を行なった雲解像数値気象モデルCReSS(the Cloud Resolving Storm Simulator)を地球シミュレーターに最適化した。これによりCReSSは地球シミュレータでの性能評価で、ベクトル化率99.4%、並列化率99.985%、ピーク性能比33%を記録した。そのうえでCReSSを地球シミュレータ上で実行した。実験としては、梅雨前線に沿って発生した低気圧の階層構造、梅雨器に九州の水俣で発生した集中豪雨、台風、及び日本海上の筋状雲についてを行なった。 水俣の豪雨の実験では、水平解像度2kmと500mで行ない、計算領域は東シナ海と九州を十分広く含む矩形領域である。500mの実験は地球シミュレータ120ノード(960CPU)で行なった。初期値は2003年7月19日09時の気象庁GPVを用いた。解像度2kmのCReSSは、豪雨を位置や時刻及び降水量について量的にシミュレーションした。その結果から水俣市周辺の豪雨が2つの要因によってもたらされたことを示した。地球シミュレータを用いてはじめて解像度500mで実際の集中豪雨のシミュレーションが可能となった。この解像度では個々の積乱雲を解像し、雲スケールで豪雨の詳細な構造を調べることが可能となった。 梅雨前線の低気圧の階層構造については、今年度、沖縄県宮古島付近で観測された小低気圧の実験を行なった。これにより、梅雨前線に沿う中間規模低気圧の中に小低気圧が形成され、それに降雨帯が伴っており、さらにその降雨帯が積乱雲群で構成されているという階層構造を示した。解像度500mの実験ではその詳細な構造が示された。 台風については、沖縄付近に停滞したものについてシミュレーションを行ない、台風の中に形成された降雨帯における降水の強化過程を、雲物理過程から説明することができた。これは雲を詳細に表現するモデルを用いて始めて可能にできたものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tsuboki, K., A.Sakakibara: "Large-scale parallel computing of Cloud Resolving Storm Simulator"High Performance Computing. 243-259 (2002)
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[Publications] 金田幸恵, 坪木和久, 武田喬男: "東海豪雨のメカニズム:その雨をもたらしたもの"天気. 49. 619-626 (2002)
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[Publications] Liu.A.Q., G.W.K.Moore, K.Tsuboki, I.A.Renfrew: "A high-resolution simulation of convective roll clouds during a cold-air outbreak"Geophysical Research Letters. 31(印刷中). (2004)
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[Publications] Tsuboki, K., T.Asai: "The Multi-scale Structure and Development Mechanism of Mesoscale Cyclones over the Sea of Japan in Winter"Journal of the Meteorological Society of Japan. (掲載予定).