2002 Fiscal Year Annual Research Report
数ケ月から1年の寿命を持つ海洋準難分解性溶存態有機物群の特定
Project/Area Number |
14340166
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱 健夫 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (30156385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 勝美 九州産業大学, 工学部, 教授 (10191149)
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Keywords | 溶存態有機物 / 準難分解性 / 安定性 / 炭水化物 / ヘテロ多糖 / 貯蔵性グルカン |
Research Abstract |
植物プランクトンの光合成に起源を持ち、数ヶ月から1年間の寿命を持つ準難分解性溶存態有機物について、自然微生物群集を用いた実験的解析を実施した結果、以下の結果が得られた。 1、植物プランクトンが光合成を行っている明期において溶存化する生産物の量は、全生産量の5%程度と少ないものであった。 2、明期に排出される溶存態有機物の中で、炭水化物が最も重要な有機物であり、約50%程度を占めた。この炭水化物の中で、分子量10kDa以上の高分子量画分においては、ラムノース、フコースなどの単糖類が主体であり、構造性炭水化物であるヘテロ多糖が主要な成分であることが示唆された。一方、分子量10kDa以下の低分子量画分では、グルコースのみを構成単位とした貯蔵性グルカンが主要成分であることが確認された。 3、生産物を含む群集を暗所に移したところ、植物プランクトン細胞内の生産物は急速に溶存化し、溶存態有機物濃度は暗所に移して3日後に最大値を示した。この増加は、主として高分子量の画分によるものであった。その後、高分子量画分の溶存態有機物は比較的高い速度で減少したのに対し、低分子量溶存態有機物の減少速度は低く、低分子量有機物が分解しにくい物質により構成させている可能性が示唆された。 4、低分子量有機物への変換は、暗条件下に移した数日後に開始しており、その変換が比較的短時間で生じていること、および細菌類の関与が示唆された。
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Research Products
(1 results)