2004 Fiscal Year Annual Research Report
天体衝突が地球表層環境に与える影響の解明:巨大蒸気雲中の化学反応の解析
Project/Area Number |
14340167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 丈二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00202854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 精司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (80313203)
森 俊哉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40272463)
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Keywords | 高速天体衝突 / 衝突蒸気雲 / K / T境界事件 / 大量絶滅 / 硫黄酸化物 / 反応速度論 / 環境変動 / 地球史 |
Research Abstract |
本研究計画では、K/T巨大衝突蒸気雲中での硫黄酸化物の酸化還元反応プロセスの解明を目的とした実験と理論計算を行っている。 本年度は、レーザーによる模擬衝突蒸気雲中の硫黄酸化物の反応速度を測定することを目的として実験を行った。実験では、Anhydrite(硬石膏、CaSO4)の粉末圧縮ペレット試料に高出力パルスYAGレーザーを照射し、高温高圧の蒸気雲を発生させた。この模擬衝突蒸気雲のカルシウム原子の輝線強度比から蒸気雲の温度を決定し、カルシウムイオンの発光輝線のシュタルク広がりから蒸気雲の圧力を決定した。典型的な実験条件に対しては、温度約6500K、圧力約30000気圧という値を得た。 この分光観測と並行して、この蒸気雲の最終的な化学組成も質量分析計測定も行った。今回は、蒸気雲のサイズに対する二酸化硫黄/三酸化硫黄比の経験的なスケーリング則を求めた。その結果、蒸気雲サイズを大きくするとともに、蒸気雲内の反応のクエンチ温度が低下し、それに伴いクエンチ後の組成中に低温で安定な三酸化硫黄の量が増えることが観測された。 以上2つの結果を合わせることにより、各実験条件におけるクエンチ点での三酸化硫黄の生成速度を推定した。推定された三酸化硫黄の生成速度は、既存の実験データから推測される気相反応の速度と比べ100から3000倍大きいという結果となった。これは、既知の気相反応経路以外にも、蒸気雲内には三酸化硫黄の未知の生成経路(例えば、酸化カルシウム表面上での触媒反応など)が存在していることを強く示唆している。(654文字)
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Research Products
(6 results)