2004 Fiscal Year Annual Research Report
高感度原子衝突電子分光法による界面分子の配向とダイナミクスの研究
Project/Area Number |
14340173
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 公一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60012499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 直樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60302080)
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Keywords | ペニングイオン化 / 電子分光 / 衝突イオン化 / 分子間相互作用 / 反応素過程 / 分子軌道 |
Research Abstract |
1.近年、低温条件下での化学反応に広く興味がもたれているが、衝突反応実験においては強度の大きな低温ビームの生成が重要な課題といえる。ペニングイオン化反応に用いられてきた従来のノズル放電による励起He^*(2^3S)原子ビームは、放電によるビーム生成ノズル部分の高温化のために、並進速度が大きくかっ拡がった分布形であった。本研究では、液体窒素を用いてビーム生成ノズル部分を約180Kに冷却した低温励起原子ビーム源の製作を行った。 2.分子と希ガスなどの混合気体の超音速分子線中で、分子が希ガス原子との多数回衝突によって衝突断面積が小さくなるような配向効果を受けることが知られている。これまでは、分子線中の分子衝突配向効果は赤外吸収分光法や粒子散乱法などを用いて観測され議論されてきた。本研究では、超音速分子線中の分子を標的とした場合と、単なる吹き出し条件下での無秩序な配向の分子の場合では、イオン化断面積の衝突エネルギー依存性が異なることを確認し、これが衝突配向効果を受けた分子に起因すると結論した。 3.原子衝突イオン化電子分光法では、励起原子が励起源であるために、光電子分光法では観測されにくいバンドを観測できることがある。2次元ペニングイオン化電子分光法によると、反応ダイナミクスの情報が得られるため、これらの特異的なバンドの帰属について議論することが可能である。本研究では、2次元ペニングイオン化電子分光法を用いることで、電子相関効果によるシェイクアップ過程や、励起移動による超励起状態を経由した自動イオン化過程など、いくつかの特異的なイオン化状態の帰属を明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)