2003 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレント光会合反応による極低温分子の合成とマニピュレーション
Project/Area Number |
14340175
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 かおり 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 学振特別研究員
溝口 麻雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20322092)
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Keywords | 冷却分子 / レーザー冷却 / シュタルク効果 / 高分解能分光 / 準マイクロ波分光 / 磁気光学トラップ |
Research Abstract |
近年・気相原子を空間に捕捉し、超低温状態とする実験技術が開発され、基礎物理学の基本問題にかかわる様々な実験がなされると同時に、多方面での画期的な応用が提案されている。同様に分子を極低温状態に捕捉し、それを使って様々な化学反応実験を行うのが次の世代の目標となっている。本研究においては、気相で極低温トラップされた単一量子状態の分子集団を作り出すために、熱的分布する分子の中から、並進運動の小さいもの、すなわち冷たい分子だけをピックアップする手法の開発を試みた。この方法は4重極静電場内のシュタルク効果を用いるもので、永久双極子モーメントを持つ分子に広く適用できるため、「冷たい分子」の研究をより一般的なものとすることができる。 先ず、はじめに分子のシュタルク効果の大きさから、対称コマ分子であるアンモニア分子を選び、回転準位ごとのシュタルク効果の大きさを計算した。 四重極電場の3次元空間分布と電気双極子に対するポテンシャルを計算し、速度分布を持つ分子の運動をシミュレーションした。その結果に基づいて、実際の高電圧対応4重極電極を設計・製作し、真空装置の中に設置した。真空装置も今回新たに設計・製作したもので、ターボ分子ポンプで超高真空を実現した。その条件下で1mmギャップで±10kVの高電圧をかけることに成功し、目標の200kV/cmを実現した。検出器にはパルスノズルと組合すために、高速イオンゲージを用いることとした。以上、装置が完成し、予備実験を経て本格的に速度の遅い分子の捕捉と検出実験を開始した。
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