2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14340180
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大島 康裕 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60213708)
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Keywords | クラスター / 構造相転移 / レーザー多重共鳴 / フェムト秒時間分解分光 / STIRAP / 分子間振動 / 構造異性体 / 超音速分子線 |
Research Abstract |
本研究は、数個〜数十個程度の分子が集合した気相クラスターや複数個のアミノ残基から構成されるポリペプチドのように、自由空間中に孤立した少数の自由度を持つ分子系に関して、融解に代表される構造相転移を実験的に探求することを目指している。研究初年度である本年度は、構造変化に対応した振動運動のエネルギー準位構造を明らかにしてポテンシャル超曲面のランドスケープを概観するための実験装置整備を重点的に行った。本研究では、振動スペクトルを高感度かつ高分解能で観測する手段としてコヒーレント光学過程(STIRAP)の利用を計画しているが、STIRAPの実現に不可欠なフーリエ限界パルス光源として、CW半導体レーザーをシード光とするパラメトリック発振レーザーを新たに開発中である。光学系の設計を既に終了し、現在製作に取り掛かっている状況である。また、フェムト秒時間分解分光によって構造転移に伴う構成分子の運動を逐次追跡して融解過程に際して引き起こされる集団運動の詳細に迫ることも目的の1つであるが、その対象として適当な分子系の探索を行った。エネルギー的に近接する複数の安定構造を持ち、その構造によって電子遷移が大きく変化すること、さらに、現有のフェムト秒レーザーの発振波長でアクセスが容易であるという面で、ヨウ素分子のアルゴンクラスターを有力な対象として選択し、定常スペクトル測定を行った。その結果、現在のCW分子線条件では十分な信号強度の確保が難しいことが判明し、高繰り返し(〜0.5kHz)のパルス分子線源を導入することを計画している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Iimori, Y.Ohshima: "S_1-S_0 vibronic spectra of benzene clusters revisited. I. Tetramer"Journal of Chemical Physics. 117. 3656-3674 (2002)
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[Publications] T.Iimori, et al.: "S_1-S_0 vibronic spectra of benzene clusters revisited. II. Trimer"Journal of Chemical Physics. 117. 3675-3686 (2002)
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[Publications] R.Kanya, Y.Ohshima: "Determination of dipole moment change on the electronic excitation of isolated Coumarin 153 by pendular-state spectroscopy"Chemical Physics Letters. 370. 211-217 (2003)
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[Publications] A.Mizoguchi, et al.: "Microscopic hydration of the sodium chloride ion pair"Journal of the American Chemical Society. 125. 1716-1717 (2003)
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[Publications] Y.Sumiyoshi, et al.: "Intermolecular potential energy surface of Ar-SH(^2Π_i) obtained by a simultaneous analysis of Ar-SH/D studied by FTMW spectroscopy"Journal of Molecular Spectroscopy. (In press). (2003)