2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340180
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大島 康裕 分子科学研究所, 電子構造研究系, 教授 (60213708)
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Keywords | クラスター / 構造相転移 / 分子間振動 / 構造異性体 |
Research Abstract |
本研究は、自由空間中に孤立した少数の自由度を持つ気相クラスターなどに関して、融解に代表される構造相転移を実験的に探求することを目的とする。本年度の成果として、まず第1に、最も基本的な芳香族分子であるベンゼンの多量体について質量選別共鳴イオン化法によって電子スペクトルの再検討を行い、6量体まではシャープな振電バンドが観測されるのに対して、7量体以上になるとブロードなスペクトルへと突然変化してしまうことを見出した。これは、多数の構造異性体もしくは極めて大きな構造揺らぎの存在を示唆し、構造転移運動のポテンシャル超曲面の形態が、クラスターサイズに依存して顕著に変化することを示す結果である。さらに、アントラセンとアンモニアからなるクラスターについてレーザー誘起蛍光の測定を行い、クラスター内における溶媒分子の運動を研究した。特に、ホールバーニング分光を適用することにより、微弱な分子間振動バンドを高感度で検出することに成功した。溶媒が1個結合したクラスターにおいては、溶媒分子の内部回転による特徴的な分裂パターンが観測された。一方、溶媒が2個以上では、溶媒全体の変形運動に対応する低波数振動モードが一定の強度を持つことが明らかになった。この結果は、溶質の光励起にともなう溶媒全体の安定構造の変化を、サイズを選別して分光学的に捉えたことに対応する。同様な測定を、より基本的なクラスターであるベンゼン-水系についても行い、従来全く観測されていなかったバンドを含む多数の分子間振動バンドを検出した。これらの実験結果は、構造転移を特徴付ける分子間ポテンシャルを高い精度で決定する上で最も重要な情報である。
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Research Products
(4 results)