2002 Fiscal Year Annual Research Report
和周波発生分光と赤外吸収分光を用いたイオン液体(常温溶融塩)の界面分子構造の研究
Project/Area Number |
14340190
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
大西 洋 (財)神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (20213803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山方 啓 (財)神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (60321915)
石橋 孝章 (財)神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (70232337)
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Keywords | 常温溶融塩 / 溶媒 / グリーンケミストリー / 和周波発生分光 / 赤外分光 / 界面 / 液体表面 / 分子構造 |
Research Abstract |
イオンのみから構成されているにもかかわらず常温で液体である有機化合物群が合成され、イオン液体(常温溶融塩)として最近注目を集めている。イオン液体は不揮発性かつ不燃性で、常温を含む数百度の温度範囲で安定であり、多くの有機・無機化合物を溶解する。さらに、イオン伝導による電気伝導性を有し電気化学的に安定なため広い電位窓を与える。これらの性質は環境低負荷型溶媒あるいは新しい電気化学材料として理想的であるため、イオン液体の化学には応用的見地から強い興味が持たれている。しかし、なぜイオン性化合物が室温付近で液相をとりうるのか、という基本的課題を含めてイオン液体の構造や物性はほとんど解明されていない。従来の溶媒物質(水・有機溶媒・超臨界相など)とはまったく異なる性質を有する未知の物質群であるイオン液体の構造化学を解き明かそうとする機運が高まっている。 本研究において申請者らは、その得意とする界面振動分光技術を用いて、イオン液体の界面分子構造を明らかにすることをめざす。イオン液体が関わる界面としては、空気をはじめとする気体と構成する気-液界面、他の溶媒との液-液界面、電極などとの固-液界面に加えて、蒸気圧が非常に低いために真空-液体界面が存在する。これらの界面におけるイオン液体の分子構造を、和周波発生分光(SFG)・反射吸収赤外分光(RAIRS)・全反射赤外吸収分光(ATR)による実験結果をもとに解析する。 研究の第一年次である本年度は、既存の分光装置(世界最高性能をもつマルチプレックス和周波分光器、および、AC結合型時間分解赤外分光器)の試料セルなどをイオン液体界面の計測にあわせて改造した。これらの分光器を使って、界面の比率が圧倒的に高くなるナノメーターサイズの細孔(メソポーラスゼオライトなど)に封入したイオン液体が細孔径の減少とともにどこまで液体性を維持できるかなどを検討する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 石橋孝章, 大西 洋: "可視プローブ波長可変性を持つマルチプレックス赤外可視和周波発生分光装置の開発"表面科学. 23. 468-474 (2002)
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[Publications] Takeshita, Sasaki, Kobashi, Tanaka, Maeda, Yamakata, Ishibashi, Onishi: "Photophysics and Electron Dynamics in Dye-sensitized Semiconductor Film Studied by Time-resolved Mid-IR Spectroscopy"Journal of Physical Chemistry B. 107(In press). (2003)
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[Publications] 山方啓, 石橋孝章, 大西洋: "時間分解赤外分光でみた二酸化チタン微粒子から吸着分子への電荷移動"表面科学. 24. 46-52 (2003)
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[Publications] Taka-aki Ishibashi, Masato Ara, Hirokazu Tada, Hiroshi Onishi: "Molecular Conformation of n-alkyl Monolayers Covalently Bonded to Si(111) Probed by Infrared-visible Sum-frequency Spectroscopy"Chemical Physics Letters. 367. 376-381 (2003)
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[Publications] Taka-aki Ishibashi, Hiroshi Onishi: "A Multiplex Infrared-visible Sum-frequency Spectrometer with Wavelength Tunability of the Visible Probe"Applied Physics Letters. 81. 1338-1340 (2002)