2004 Fiscal Year Annual Research Report
アセチレンジコバルト錯体を利用した中員環骨格構築法の開発
Project/Area Number |
14340191
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷野 圭持 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40217146)
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Keywords | アセチレンジコバルト錯体 / 付加環化反応 / 中員環 / 天然物合成 |
Research Abstract |
前年までに開発した6炭素ユニットをさらに一炭素伸長した7炭素ユニットを新たに合成し、各種エノールシリルエーテルとの[7+2]型付加環化反応の検討を行った。コバルトアセチレン錯体の大きな結合角から、対応する6炭素ユニットが分子内環化反応を起こしにくいのに対して、7炭素ユニットは容易に7員環を形成する。このため、[7+2]型付加環化反応を実現するためには、反応条件の選択が極めて重要であることが判明した。具体的には、溶媒量を極力減らして基質濃度を高めることで、分子間反応を進行させることが可能であり、目的の9員環化合物が約40%の収率で得られることを見出した。さらに、競合する分子内環化反応を抑制するために、アリルシラン部位にメチル基を導入した7炭素ユニットを設計し、その[7+2]型付加環化反応を行ったところ、目的物の収率は約60%まで向上した。 次に、先に見出した6炭素ユニットとフランとの[6+4]型付加環化反応を応用した海洋産天然物sclerophytin Aの全合成研究に着手した。この付加環化反応では、10員環炭素骨格中に渡環エーテル構造を含むアセチレンジコバルト錯体が高収率で得られるが、その脱錯体化反応をまず検討した。従来の硝酸アンモニウムセリウム(IV)を用いる酸化反応では、10員環アセチレンが低収率で得られるのみであったが、ヨウ素を作用させることでエーテル環の転位を伴う脱錯体化反応が進行し、エノールエーテル部を有するジヨウ化物が好収率で生成することを見出した。この反応を用いて合成した10員環エノンに共役付加反応および分子内アルドール反応を適用して6員環を融着し、sclerophytin Aの基本骨格の構築に成功した。
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Research Products
(5 results)