2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属含有1,3-双極子反応剤の創製と環状化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
14340194
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
草間 博之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30242100)
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Keywords | タングステン / 1,3-双極子 / カルボニルイリド / 塩化白金 / ナフタレン |
Research Abstract |
本研究では、アルカロイド等の天然有機化合物や、医農薬品等の各種生理活性物質の合成に有効な多環性化合物の新規かつ効率的な合成手法の開発を目的とし、遷移金属部位を含有する1,3-双極子反応剤の創製とその反応について検討を行っている。昨年度はタングステンカルボニル錯体がアルキンを求電子的に活性化することを利用し、2-アルキニルアニリンから誘導したイミンとの反応によりこれまでに例のない金属部位を有するアゾメチンイリドの生成手法を開発した。本年度はこの手法を発展させ、他の遷移金属部位を含有する新規1,3-双極子反応剤の創製とその反応に関する研究を行った。その結果、2-アルキニルフェニルカルボニル化合物に対し、電子豊富アルケンの存在下、トルエン中室温で塩化白金を作用させると、置換ナフタレンが高収率で得られることを見出した。この反応ではまず、新規反応活性種である白金含有カルボニルイリドが生成し、これが電子豊富アルケンを[3+2]型付加環化反応を起こして多環性骨格を有する白金カルベン錯体中間体が生じると考えられる。この中間体はカルベン炭素のα位置換基の1,2-転位を伴って骨格転位を起こし、最後に芳香化することによりナフタレン誘導体を与えるものと考えられる。本反応は幅広い基質一般性を有しており、有用な置換ナフタレン合成法となり得るものである。この成果は、従来類例のない金属含有1,3-双極子反応剤がタングステンカルボニルや塩化白金といった求電子性の高い遷移金属錯体と、分子内にアルキン部位を有するイミン、カルボニル化合物とから容易に発生できることを示した点で学術的に高い価値をもつものであると考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takaya Jun: "Isolation and Reaction of (Indolin-3-ylidene)pentacarbonyltungsten Generated from Tungsten-Containing Azomethine Ylide"Chemistry Letters. 33. 16-17 (2004)
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[Publications] Hiroyuki Kusama: "Platinum(II)-Catalyzed Cycloaddition Reaction of 2-Alkynylbenzoates or Benzothioates with Vinyl Ethers : A Concise Method for Synthesis of 1-Acyl-4-alkoxy- or 1-Acyl-4-alkylsulfanyl-naphthalene Derivatives Pt cyclization"Organic Letters. 6. 605-608 (2004)
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[Publications] Miura Tomoya: "W(CO)_5(L)-Catalyzed Endo-Selective Cyclization of Allenyl Silyl Enol Ethers : An Efficient Method for the Cyclopentene Annulation onto α,β-Unsaturated Ketones"Organic Letters. 5. 1725-1728 (2003)