2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属含有1,3-双極子反応剤の創製と環状化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
14340194
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
草間 博之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30242100)
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Keywords | タングステン / 1, 3- 双極子 / 1, 5- 双極子 / 3+2 付加環化 / 5+2 付加環化 |
Research Abstract |
本研究では、アルカロイド等の天然物や、医農薬品等の各種生理活性物質の合成に有効な多環性化合物の新規かつ効率的な合成手法の開発を目的とし、遷移金属部位を有する1,3-双極子、ならびに1,5-双極子反応剤の創製とその反応について検討を行ってきた。昨年度はタングステンカルボニル錯体がアルキンを求電子的に活性化することを利用し、2-アルキニルアニリンから誘導したイミンとの反応によりこれまでに例のない金属含有アゾメチンイリドが生成し、これが電子豊富アルケンと速やかに[3+2]附加環化反応を起こして三環性インドールを収率良く与えること、ならびに、2-アルキニルフェニルカルボニル化合物に対し、電子豊富アルケンの存在下で塩化白金を作用させると、白金含有カルボニルイリドが生じ、これが電子豊富アルケンと同様の[3+2]付加環化反応を起こして置換ナフタレンを高収率で与えることを見出した。本年度はこれらの知見をもとに更なる検討を行い、上記インドール合成反応において、内部アルキン部位を有する反応基質を用いた場合は、タングステン錯体よりもレニウム、白金、金など、他の第6周期遷移金属が触媒として極めて有効であることを見出した。この結果により、幅広い反応基質に対して適用可能なインドール合成反応の開発に成功した。また、エンイン部位を有するアニリンから誘導したイミンに対してタングステン錯体を作用させると、金属含有1,5-双極子が生成し、これがアルケン類と[5+2]付加環化反応を起こすことで、含窒素7員環を有する多環性化合物も簡便に合成できることを見出した。これらの成果は、従来類例のない金属含有1,3-,1,5-双極子類が、各種の求電子的遷移金属錯体と、分子内にアルキン部位を有するイミンから容易に発生でき、しかもこれらが多環性複素環の合成に極めて有効であることを示した点で学術的に高い価値をもつものである。
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Research Products
(5 results)