2003 Fiscal Year Annual Research Report
インジウム-遷移金属複合反応剤を用いる高効率有機合成反応の開発
Project/Area Number |
14340195
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
荒木 修喜 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30115670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平下 恒久 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (50345948)
山村 初雄 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (80220440)
川井 正雄 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (60161270)
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Keywords | インジウム / 遷移金属 / パラジウム / アリル化反応 / アート錯体 / ホモアリルアルコール / 立体選択性 / ガリウム |
Research Abstract |
本研究は、有機インジウム反応剤を遷移金属と複合的に用いることにより、インジウム反応剤単独では為しえない新規有機合成反応や有機官能基変換を達成することを目的とする。有機インジウム反応剤は高い反応性と選択性をもつ有機金属化合物でありながら,水中でも円滑に反応が進行するなど他の金属にはみられない魅力的な特長を有する。本研究はインジウム反応剤の特性を保持しつつ、遷移金属と組み合わせることにより、これまで研究例の殆どないインジウム-遷移金属複合反応剤の新しい局面を開拓しようとするものである。得られた成果を以下に述べる。 (1)アリル型ジインジウム反応剤とアルデヒドやイミンとの反応を系統的に研究し、反応経路に及ぼすさまざまな要因を明らかにした。さらに、反応途上で生成するビニルインジウム化合物の反応挙動を併せて解明し、アリル型ジインジウムを触媒量のパラジウムと組み合わせることによってカスケード反応に展開した。(2)オキシランをパラジウム触媒存在下ヨウ化インジウム(I)と反応させると簡便にアリルインジウム反応剤が調製できる。本手法を用いて、ラベンダーの芳香成分を極めて簡便に合成した。(3)インジウムと同属金属であるガリウムは有機合成上未だ未解明の金属である。アリルガリウムによるシクロプロペンの反応生成物であるシクロプロピルガリウムの単離と構造決定に初めて成功し、本化合物の構造的特徴を解明した。(4)アリルインジウムによるカルボニルのアリル化反応は合成上有用な反応である。本反応の立体選択性について、インジウム上に存在する配位子の重要性に着目し、配位子による立体制御の可能性を指摘した。(5)インジウムアート錯体の反応を種々の添加剤存在下検討し、遷移金属化合物の選択性に及ぼす影響を詳細に検討した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Hirashita, Y.Hayashi, K.Mitsui, S.Araki: "Allylic-type Diindium Reagents. Reactivity toward Electrophiles and Cascade Coupling Reactions with Imines"J.Org.Chem.. 68. 1309-1313 (2003)
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[Publications] S.Araki, S.Kambe, K.Kameda, T.Hirashita: "A New Synthesis of Lavandulol via indium/Palladium-Mediated Umpolung of Vinyloxirane"Synthesis. 751-754 (2003)
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[Publications] S.Araki, T.Tanaka, T.Hirashita, J.-i.Setsune: "Allylgallation of Cyclopropenes. Crystal Structure of a Novel Cyclopropylgallium Compound Prepared by Allylgallation of Hydroxy-bearing Cyclopropene"Tetrahedron Lett.. 44. 8001-8003 (2003)
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[Publications] T.Hirashita, T.Kamei, M.Satake, T.Horie, H.Shimizu, S.Araki: "Control of Diastereoselectivity in the Crotylation and Cinnamylation of Aldehydes by the Selection of Ligands on Allylic Indium Reagents"Org.Biomol.Chem.. 1. 3799-3803 (2003)
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[Publications] T.Hirashita, Y.Hayashi, K.Mitsui, S.Araki: "Reaction of Indium Ate Complexes with Allylic Compounds. Controlling S_N2/S_N2'-Selectivity by Solvents"Tetrahedron Lett.. 45(印刷中). (2004)
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[Publications] S.Araki, T.Hirashita: "Indium in Organic Synthesis in "Main Group Metals in Organic Synthesis"Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KgaA, Weinheim. 323-386 (2003)