2002 Fiscal Year Annual Research Report
面不斉遷移金属錯体の特性を用いた還元的不斉クロスカップリング反応
Project/Area Number |
14340201
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
植村 元一 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (90047241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神川 憲 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (40316021)
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Keywords | 面不斉 / ピナコール反応 / クロスカップリング / アミノアルコール |
Research Abstract |
光学活性1,2-アミノアルコール及びその誘導体は不斉反応の配位子、不斉補助基として幅広く用いられている化合物である。通常、1,2-アミノアルコールを光学活性体として合成するには、天然アミノ酸を還元する方法の他は、キラルなalpha-アミノケトン(アルデヒド)ならびにalpha-ヒドロキシイミンのsp2-炭素に求核剤を立体選択的に付加させて合成する場合が多いが、基質及び求核剤が限定され、高い光学純度で達成するには多くの問題点がある。本研究では、1,2-アミノアルコール、ジオール、ジアミンなど隣接位に2つのヘテロ元素をもつ化合物を光学活性体として合成することを検討し、さらに、これらのキラル化合物を用いた不斉反応へ展開することを目的として検討を行った。クロムトリカルボニル基が配位したベンジル位は、カチオン及びアニオンがともに安定化され、その安定化に由来する有機反応が進行することはよく知られている。一方、クロムトリカルボニル基が配位したベンジルラジカルの安定性については全く知られていなかったが、我々は最近キラルな面不斉をもつクロム錯体、及びフェロセン誘導体からピナコールカップリング反応の立体化学を詳しく検討した結果、中間体として生成したベンジルラジカルが遷移金属によって安定化され、しかもベンジル位ではラセミ化することなく反応が進行することを明らかにした。一方、本反応を達成するのにイミン上の置換基が大きな影響を与えることを既に見出している。これらの基礎的な知見をもとにして、酸化還元電位の大きくことなるアルデヒド、イミンを官能基としてもつ面不斉遷移金属錯体を創製し、立体選択的クロスピナコールカップリングを行って光学活性1,2-アミノアルコールを効率良く合成することに成功した。また、これらを配位子としてケトンの不斉還元反応の検討を行い、90%以上の光学純度で目的の還元体を得ることに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] G.Bringmann, M.Breuning, R-M.Pfeifer, W.A.Schenk, K.Kamikawa, M.Uemura: "The lactone concept a novel approach to the metal-assisted atropselective construction of axially chiral biaryl systems"J.Organoment.Chem.. 67. 9227-9237 (2002)
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[Publications] Y.Tanaka, N.Taniguchi, M.Uemura: "Asymmetric Synthesis of b-Amino Alcohols by Reductive Cross-Coupling of Benzylidenamine with Planar Chiral Benzaldehydes"Org.Lett.. 4. 835-838 (2002)
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[Publications] Y.Tanaka, N.Taniguchi, T.Kimura, M.Uemura: "Asymmetric Synthesis of anti-and syn-b-Amino Alcohols by Reductive Cross-Coupling of Transition Metal-Coordinated Planar Chiral Arylaldehydes with Aldimines"J.Org.Chem.. 67. 9227-9237 (2002)
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[Publications] H.Koide, T.Hata, M.Uemura: "Asymmetric Synthesis of Axially Chiral Benzamides and Anilides by Enantiotopic Lithiation of Prochiral Arene Chromium Complexes"J.Org.Chem.. 67. 1929-1935 (2002)
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[Publications] K.Kamikawa, T.Sakamoto, U.Uemura: "Inversion of Planar Chirality vs. Axial Isomerization of Axially Chiral Biaryl Chromium Complexes"Synlett. (in press).
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[Publications] Y.Tanaka, T.Sakamoto, K.Kamikawa, M.Uemura: "Tricarbonylchromium-Complexed Biaryls in Asymmetric Synthesis : Stereoselective Functionalization of Axially Chiral Biaryl Chromium Complexes"Synlett. (in press).