2004 Fiscal Year Annual Research Report
光化学と熱化学反応のインタープレイによる反応性中間体と溶媒関与に関する研究
Project/Area Number |
14340202
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
奥山 格 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (40029484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 守文 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助手 (00275314)
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Keywords | ヨードニウム塩 / 1,3-ジオキソレニウムイオン / 一重項酸素 / 不斉酸素化 / エナンチオN選択性 / 水素結合 / カルボン酸会合 / カチオンラジカル |
Research Abstract |
β-ヘテロ置換ビニルヨードニウム塩として2-アセトキシ-1-アルケニルヨードニウムテトラフルオロボラート(1)を合成し、その反応を調べた。シス体は安定に単離でき、溶液中でも安定であったが、トランス体は不安定で単離不可能であった。CDCI_3中、低温で酢酸存在下に1-ヘキシンにPhIOとBF_3Et_2Oを作用させるとトランス-1が生成し-10℃以下で安定に存在することがわかった。温度をあげるとヨードベンゼンを脱離して1,3-ジオキソレニウムイオン2が生成し、このイオンは溶液中では室温でも安定であった。他のカルボン酸でも同様の反応を示した。 1-アルコキシ-4-メチルナフタレン3に光増感反応で発生させた一重項酸素を付加させると、1,4-エンドペルオキシドを与え、酢酸で処理すると4-ヒドロペルオキシドが得られる。側鎖のアルコキシ基を乳酸に由来する光学活性でカルボン酸置換基を有するものにすると、生成するヒドロペルオキシドは面選択的に生成することがわかった。その選択性は、反応温度、基質濃度、添加カルボン酸に依存した(70/30〜97/3)。側鎖をエーテルやアルコールにすると選択性はほとんど見られず(50/50〜35/65)、エステル側鎖基質は8/2程度の選択性を示すものの、反応条件による変化は見られなかった。カルボン酸側鎖基質のNMRスペクトルは温度、濃度、添加カルボン酸によって影響を受け、その化学シフトからカルボン酸の2分子会合が起こっていることが示唆された。この会合の影響が大きい条件、低温およびカルボン酸高濃度でとくに優れた面選択性を示すことから、カルボン酸の会合によって一方の面に大きな立体障害を生じた結果、一重項酸素の[2+4]付加環化反応の段階で面選択性が現れるものと結論された。生成したアシラール体の加水分解によりキラル側鎖を除去して、最高97%の選択性で、光学活性な第三級ヒドロペルオキシドを合成することができた。
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Research Products
(1 results)