2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物リン酸塩を用いた,動的なゆがみのある結晶の構築
Project/Area Number |
14340204
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
井本 英夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20168529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 慶太郎 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00334079)
単 躍進 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (20272221)
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Keywords | リン酸塩 / 酸化物 / 誘電率 / チタン酸塩 / ニオブ酸塩 / イオン伝導 |
Research Abstract |
本研究は,XO_4正四面体型ユニットとMO_6正八面体型ユニットが頂点共有により連結したネットワーク構造をもつ新規化合物を合成し,結晶構造学的特性から予測される構造自由度を活かした物性開発を目指すものである。本年度は,構造ネットワークを構成する配位多面体の構成比(八面体:四面体)が3:1であるような酸化物リン酸塩,すなわち,一般式A_yM_xM'_<3-x>O(PO_4)(Aはアルカリ金属イオン)で表される化合物の合成を中心に行った。このような系の研究例はほとんどない。多くの系を検討したが,特に,M=Ti, M'=Nbの系で, K_<2+x>Ti_xNb_<3-x>O(PO_4)(0.5<x<0.75)という組成を持つと予想される新しい固溶体相が存在することが明らかとなった。この相は組成に幅があり,アルカリ金属の欠損の最も大きいx=0.5付近ではイオン伝導性が期待され,結晶構造のゆがみとの関係を検討している。Nb-Ti系では,さらに, K_<2.4>Ti_<0.4>Nb_<2.6>O(PO_4)に近い組成で新しい酸化物リン酸塩が存在することが見出されたが,単相では得られていない。しかし,タングステンを含むA_<2-x>Nb_<3-x>W^<VI>_xO(PO_4)系では,Nb^VのかわりにW^Vを含む化合物が存在するにもかかわらず,その同型物質は得られなかった。このことより,酸化物リン酸塩の構造がイオン半径の微妙な差により安定化あるいは不安定化されることが示唆された。また,昨年度,重点的に研究を行ったA_yM_xM'_<3-x>O(PO_4) (A=K, Rb, Cs; M=Nb, Ta; M'=Ti, Mn)系化合物において,アルカリ金属イオンの交換反応を目的として,種々の条件でハロゲン化アルカリとの反応を試みたが,酸化物リン酸塩の分解が起こるため,ナトリウムなどの小さいアルカリ金属イオンでは本構造は維持できないことがわかった。
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