2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属タンパク質の機能を再現する高機能性金属錯体の合成
Project/Area Number |
14340210
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小寺 政人 同志社大学, 工学部, 教授 (00183806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 航治 同志社大学, 工学部, 教授 (60038031)
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Keywords | 酸素運搬機能 / 二核銅錯体 / 高機能性ヘモシアニンモデル / ヘキサピリジン配位子 / O_2 / COサイクル / 可逆的酸素吸着 |
Research Abstract |
可逆的酸素結合を実現する高機能性ヘモシアニンモデルの構築:立体障害として6位メチル基を持つヘキサピリジン配位子(L1)のメチン部位にメチル基を導入した新規配位子(L2)を合成した。これらの配位子のCu(I)錯体1を合成した。錯体1の結晶構造を決定し、溶液中の構造については、H NMRスペクトルにより検討した。錯体1は、酸素分子と反応して室温で安定なμ-η2:η2-パーオキソ錯体2を生成した。この錯体は、従来の錯体に比べて酸素分子の可逆的結合が非常に容易になった。さらに、CO/O_2サイクルにおいては、25℃においてCOとO_2のガス交換だけでパーオキソ錯体と一酸化炭素錯体を完全に可逆的に生成させる事ができた。これは、ヘモシアニンモデルとしては均一溶液中で完全に可逆に酸素の結合を実現した初めての例であり、非常に優れた高機能性ヘモシアニンモデルと言える。パーオキソ錯体2の高い機能を解明するためにその結晶構造と溶液中の構造について詳細に検討した。結晶構造からは、パーオキソ錯体2が従来の錯体に比べて非常に際立った特徴を持つ事が明らかになった。即ち、Cu-O結合距離がこれまで報告されたパーオキソ錯体の中でもっとも長く、酸素分子として放出しやすい事がわかった。溶液中の構造としては、O-Oの伸縮振動を共鳴ラマンスペクトルによって測定したところ振動数は765cm-^1となりこれまでの関連する錯体のO-Oの伸縮振動の中でもっとも高い振動数を示す事がわかった。これらの2つの構造情報から、今回のパーオキソ錯体2が酸素分子を非常に放出しやすい構造である事がわかった。そこで、我々は、パーオキソ錯体2をヘモシアニンのtense formモデルと考え、オキシヘモシアニンからの酸素分子の放出に関して重要な知見を与えると結論した。ここで得られた結果は、Angew.Chem.Int.Ed.に掲載された。 上記以外の成果については、本年の日本化学会春季年会で発表するとともに、現在、論文を作成中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Kodera, Y.Kajita, Y.Tachi, K.Katayama, K.Kano, S.Hirota, S.Fujinami, M.Suzuzki: "Synthesis, Structure, and Greatly Improved Reversible O_2 binding in a Structurally Modulated μ-η^2:η^2-Peroxodicopper(II) Complex with Room Temperature Stability"Angew.Chem.Int.Ed.. Vol.43, No.2. 334-337 (2004)
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[Publications] M.Kodera, T.Kawata, K.Kano, Y.Tachi, S.Itoh, S.Kojo: "Mechanism for Aerobic Oxidation of 3,5-Di-tert-butylcatechol to 3,5-Di-tert-butyl-o-benzoquinone Catalyzed by Di-μ-hydroxox-dicopper(II) Complexes of Peralkylated Ethylenediamine Ligands"Bull.Chem.Soc.Jpn.. Vol.76. 1957-1964 (2003)