Research Abstract |
1.パラ位に種々の置換基を有するヘキサフェニルエチニルベンゼンホストの合成 我々は、パラ位に水酸基やカルボキシル基を有するヘキサアリールベンゼンが多孔質2次元水素結合ネットワークを形成することを見出している。そこで、拡張パイ共役型多孔質2次元水素結合ネットワークの構築とその不斉化を指向する目的で、パラ位に種々の置換基を交互に有するヘキサフェニルエチニルベンゼンホストの合成を行った。まず、1,3,5-トリブロモ-2,4,6-トリヨードベンゼンの簡便合成法を開発した。そして、1,3,5-トリブロモ-2,4,6-トリヨードベンゼンに対してシリルオキシ基とエステル基をパラ位に有するフェニルアセチレンを順次薗頭カップリング反応させることにより、1,3,5-トリス(p-エステルフェニルエチニル)-2,4,6-(p-シリルオキシフェニルエチニル)ベンゼン1と1,3,5-トリス(p-カルボキシフェニルエチニル)-2,4,6-(p-ヒドロキシフェニルエチニル)ベンゼン2の合成に成功した。同様に、1,3,5-トリス(p-ニトロフェニルエチニル)-2,4,6-(p-シリルオキシフェニルエチニル)ベンゼン3や1,3,5-トリス(p-N, N-ジアルキルアミノフェニルエチニル)-2,4,6-(p-ニトロフェニルエチニル)ベンゼン4等を合成した。そして、これらホスト分子の吸収・蛍光スペクトル挙動を調べて電子的特性を明らかにした。現在、ホスト2の単結晶化を行い、その多孔質2次元水素結合ネットワーク構造の解明を行っている。 2.不斉置換基と相互作用部位を交互に有するヘキサフェニルエチニルベンゼンホストの合成 上記合成法の開発を踏まえ、1,3,5-位にp-カルボキシフェニルエチニル基、p-シアノフェニルエチニル基、4-ピリジルエチニル基を有し、2,4,6-位に不斉置換アセチレンであるα-フェネチルオキシメチルアセチレンを有する不斉ホスト1,3,5-トリス(p-置換フェニルエチニル)-2,4,6-(不斉置換エチニル)ベンゼン5,6,7を合成した。現在、ホスト5に関しては多孔質2次元不斉水素結合ネットワークを、ホスト6,7に関してはAgやZn塩等を反応させて多孔質2次元不斉配位結合ネットワークの構築を検討している。 次年度は、これら多孔質不斉ネットワークの結晶構造をX線結晶構造解析により明らかにすると共に、光学分割剤や不斉固体触媒への可能性を探る。
|