2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14340223
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
酒井 健 東京理科大学, 理学部第一部, 講師 (30235105)
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Keywords | 水素エネルギー / 太陽光エネルギー / ビオローゲン / 人工光合成 / 分子デバイス / ナノデバイス / ルテニウム錯体 / 白金錯体 |
Research Abstract |
本年度の第一目標を、光電荷分離寿命の長い組織体の構築に置くき、研究を進めた。この研究ステージでは、錯体触媒の導入は行わず、各種鎖長のRu-(MV^<2+>)_nを合成・同定し、光誘起電子移動と逆電子移動の速度について調べた(MV^<2+>はメチルビオローゲン誘導体を意味する)。申請者は、MV^<2+>配列数の増加に伴い逆電子移動が抑制されると期待している。(MV^<2+>)_n鎖内での電子移動の頻度を高めることにより、寿命の長い系が実現することが期待される。まず、S-(+)-2-Amino-4-bromobutyricとN-methyl-4,4'-bipyridinium iodide ([MQ]I)との反応により、MV^<2+>を有するアミノ酸を合成した。その後、通常のペプチド合成法に従い、保護・縮合・脱保護反応を繰り返し行うことにより、様々な鎖長の(MV^<2+>)_n人工蛋白質を合成しようと試みた。ところが、このMV^<2+>を有するアミノ酸のアミノ基をBoc保護する試みはことごとく失敗に終わり、最終的にはその反応を断念することとした。これらの研究の間新たに見出したこととしては、MV^<2+>誘導体がその還元体であるカチオンラジカルなどの望ましくない副生成物を与える条件があげられる。特に、ペプチド合成においては、酸ハロゲンによるカップリング反応、及び縮合剤を用いる反応の両反応において、トリエチルアミン、DIEA(disopropylethylamine)などの塩基共存下で行う。しかし、これらの塩基の存在により、MV^<2+>は副生成物を与えるため、ペプチド合成の条件はかなり限られてしまうという欠点があることが分かった。これらの結果を基に、本研究では、MV^<2+>によるナノワイヤーの合成の戦略とし、ペプチド結合を一端あきらめ、白金錯体の合理的集積化をベースとする合成戦略を新たに設定し、それについて検討した。具体的には、文献の合成法に従い、4-(3-bromopropyl)pyrazoleを合成し、それを[MQ](NO_3)とともにメタノールに溶解し、MV^<2+>を有するピラゾール誘導体の合成を試み、それに成功した。現在その白金錯化挙動について調べている。次年度以降はこのMV^<2+>を有する白金多核化配位子を用いて、一次元的な白金鎖を合理的に逐次伸張する合成法の開発を進める予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tsuyoshi Satoh, Noriko Hanaki, Yuko Kuramochi, Yujiro Inoue, Kayo Hosoya, Ken Sakai: "A new method for synthesis of allenes, including an optically active form, from aldehydes and alkenyl aryl sulfoxides by sulfoxide-metal exchange as the key reaction and an application to a total synthesis of male bean weevil sex attractant"Tetrahedron. 58. 2533-2549 (2002)
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[Publications] Yujiro Hayashi, Mitsuru Shoji.Junichiro Yamaguchi, Kenji Sato, Shinpei Yamaguchi, Takasuke Mukaiyama, Ken Sakai, Yukihiro Asami, Hideaki Kakeya, Hiroyuki Osada: "Asymmetric Total Synthesis of (-)-Azaspirene, a Novel Angiogenesis Inhibitor"J. Am. Chem. Soc.. 124. 12078-12079 (2002)
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[Publications] Ken Sakai, Eri Ishigami, Yosuke Konno, Takashi Kajiwara, Tasuku Ito: "New Partially-Oxideized 1-D Platinum Chain Complexes Consisting of Carboxylate-Bridged cis-Diammineplatinum Dimer Cations"J. Am. Chem. Soc.. 124. 12088-12089 (2002)
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[Publications] Tadahiro Kato, Masahiro Hoshikawa, Yoshihiro Yaguchi, Kiyokazu Izumi, Yukio Uotsu, Ken Sakai: "Synthesis of dl-12-Epiverticillol"Tetrahedron. 58. 9213-9222 (2002)