2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340230
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早下 隆士 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70183564)
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Keywords | 超分子形成 / 分子複合体 / センサー / シクロデキストリン / ボロン型プローブ / ポダンド型プローブ / 糖認識 / 鉛イオン認識 |
Research Abstract |
複数の分子が弱い相互作用によって結合した超分子は,協同的な作用によって個々の構成分子とは異なる機能の発現が期待できる。本研究では,β-シクロデキストリン(β-CyD)とボロン酸型蛍光プローブの複合体による水中での光誘起電子移動反応に基づく発蛍光型の糖認識について,プローブ分子の構造効果を詳細に検討した。フェニルボロン酸にピレン蛍光団をエステル結合で導入したCn-PB(n=1,4)およびアミド結合で導入したC1-APBを合成した。蛍光プローブ/β-CyD複合体の性能は,2%DMSO水溶液中で糖を添加した際の蛍光スペクトル変化の測定によって評価した。蛍光プローブ自体は,水中で殆ど蛍光を発しないが,β-CyDとの複合体形成によりピレン由来のモノマー蛍光を観測できる。これにフラクトースなどの糖を添加すると,中性pH条件で蛍光強度は著しく増大した。これはピレニル基からボロン酸への光誘起電子移動が,糖との結合に基づく酸解離によって抑制されるためである。この蛍光回復は,スペーサー長の短いC1-PBで最も大きいことを明らかにした。また構造上安定なC1-APBでも,C1-PBと同等の糖認識機能が得られることがわかった。また,ハードな配位子場を有する擬クラウンエーテル骨格のポダンド構造と,情報変換部位にピレンを導入した蛍光プローブ(PD18C6)を設計し,γ-シクロデキストリン(γ-CyD)との複合体形成に基づく水中での鉛イオン認識機能についても検討を行った。PD18C6/γ-CyD複合体は,水中でピレン由来のモノマー蛍光を示すが,鉛イオンを添加することにより,選択的にモノマー蛍光が減少し,長波長側にピレンダイマー蛍光が現れることを見出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Nochi, A.Yamaguchi, T.Hayashita, N.Teramae et al.: "Direct Observation of Alkali-Metal Ion Recognition Processes at the Water/heptane Interface by Second Harmonic Generation Spectroscopy"J. Phys. Chem. B. 106. 9906-9911 (2002)
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[Publications] M.Minagawa, T.Hayashita, Dai Qing, N.Teramae et al.: "Design of Podand Fluoroionophore and Its Recognition Function for Lead Ion"Bunseki Kagaku. 51(9). 681-687 (2002)
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[Publications] A.Yamauchi, T.Hayashita, A.Kato, N.Teramae: "Supramolecular Crown Ether Probe/γ-Cyclodextrin Complex Sensors for Alkali Metal Ion Recognition in Water"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 75. 1527-1532 (2002)
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[Publications] T.Hayashita, Dai Qing, N.Teramae, S.-K.Chang: "Design and Function of Proton-Ionizable Cyclam Fluoroionophore for Zinc(II) Ion Sensing in Water"J. Ion Exch.. (in press). (2003)
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[Publications] 早下隆士(分担執筆): "「分析用有機試薬」,化学便覧-基礎編(改訂5版)第5章,第17節"丸善(日本化学会編)(印刷中). (2003)