2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14340239
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
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Keywords | コンソミック系統 / 精子形態異常 / 生殖能力 / QTLマッピング / Halap-X遺伝子 / 遺伝子多型 / コンジェニック系統 |
Research Abstract |
生殖能力が低下するコンソミック系統(B6-XMSM)の雄について、より詳細な表現型解析を行った。B6-XMSM系統雄と交配したC57BL/6J(B6)系統雌から卵を回収し、その後の発生を観察したところ、雄性前核が出現しないことから受精が起こっていないことが明らかとなった。自然交配で受精が起こらないことの原因として、B6-XMSM系統雄では、今まで分かっていた異常な精子形態と低い精子運動性に加えて、精巣全体の精子産生量が少なく、また雌の各生殖器官(子宮、卵管)に到達する精子数も顕著に低いことが分かった。精子形態異常の原因遺伝子の存在。領域にマッピングされているHalap-X遺伝子については、シークエンス解析の結果、B6系統とMSM系統間で多型が見つかったため、Halap-X遺伝子の原因遺伝子としての証明を行うために、B6-XMSM系統雄にB6系統由来のHalap-X遺伝子を導入するためのトランスジェニックマウス系統を作製した。B6-XMSM系統雄では精巣重量が顕著に低下するが、QTLマッピング解析によりその原因遺伝子の存在領域が、精子形態異常の原因遺伝子とは異なる染色体領域にマップされた。この候補遺伝子領域についてについてコンジェニック系統を作製し、表現型を作製したところ、精巣重量は低下するが、精子形態は正常であった。またこれらのコンジェニックマウス系統は、自然交配において正常な生殖能力を示すことから、精子形態の異常がB6-XMSMY個体の生殖能力低下の主な原因と考えられた。精子形態異常の原因遺伝子はX染色体上の3箇所に存在する。それぞれの領域についてコンジェニック系統を作製したが、いずれも精子形態異常の表現型がB6-XMSMY個体ほど顕著でなくなることから、精子形態異常にはこれらの3つの候補遺伝子の相互作用が必要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Isobe, T.et al.: "Molecular characterization of the Pb recombination hotspot in the mouse major histocompatibility complex class II region"Genomics. 80. 229-235 (2002)
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[Publications] Hide, T.et al.: "Genetic modifiers of otocephalic phenotypes in Otx2 heterozygous mutant mice"Development. 129. 4347-4357 (2002)
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[Publications] Kikkawa, Y.et al.: "Mutations in a new scaffold protein Sans cause deafness in Jackson shaker mice. Hum."Mol.Genet.. 12. 453-461 (2003)