2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
広瀬 忠樹 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90092311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦坂 幸毅 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (10272006)
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Keywords | 葉フェノロジー / 群落光合成理論 / 寿命 / 階層構造 / 森林 / 窒素利用効率 / 窒素生産力 / 平均滞留時間 |
Research Abstract |
多くの植物では葉の寿命は個体の寿命よりも短く,植物は生きている間に葉の生産と落葉を行っている.この葉フェノロジーの種による違いを植物の適応戦略としてとらえ,これに群落光合成理論を適用して解析することを目的に研究を行った. (1)人工群落における葉群の動態:単純なモデル系として1年草オオオナモミ群落を栄養条件を変えて育成し,一枚一枚の葉の生産と枯死を追跡調査した.葉数は枯死が始まるまでは増加し,その後,葉の生産と枯死が同じ速度で起こったため現存葉数は変化しなかった.葉面積は葉数の増加に遅れて定常状態に達した.2つの栄養条件の間で枯葉の窒素濃度に差は見られたが,窒素回収効率には差が見られず,窒素のターンオーバー速度は貧栄養条件下で小さかった.(2)ワラビの葉の寿命と構成コスト:ワラビは生育期間を通して葉を展葉させるが,後から出てくる葉の寿命は短い.それぞれの葉の窒素濃度,光合成能力,構成コストを調べ,構成コストに対する光合成能力の比が寿命と正の相関があることを明らかにした.(3)コナラ林の異なる階層に生育する落葉種と常緑種の窒素利用効率:仙台市の東北大学附属植物園のコナラ林において上層を構成する落葉樹のコナラ、下層に生育する落葉種のバイカツツジとウワミズザクラと常緑種のアオキとイヌツゲの葉レベルにおける窒素利用効率を葉の窒素生産力と窒素滞留時間に分けて解析した.窒素生産力は落葉種で高く,常緑種で低かった.落葉種では上層種と下層種の間で窒素生産力に差はなかった.落葉種と常緑種における窒素生産力の差は葉の光合成窒素利用効率の差を反映したものであった.平均滞留時間は常緑種で高く,落葉種で低かった.これは両者の葉の寿命の差によるものであった.(4)八甲田のブナ林を構成する種について,窒素の回収効率を調べ,回収終点窒素濃度と光合成能力をゼロにする窒素濃度は必ずしも一致しないことを明らかにした.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Oguchi R: "Does the photosynthetic light-acclimation need change in leaf anatomy?"Plant, Cell and Environment. 26. 505-512 (2003)
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[Publications] Nagashima H: "Effects of elevated CO2 on the size structure in even-age monosecific stands of Chenopodium album"Global Change Biology. 9. 619-629 (2003)
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[Publications] Anten NPR: "Shoot structure, leaf physiology, and carbon gain of species in a grassland"Ecology. 84. 955-968 (2003)
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[Publications] Kinugasa T: "Reproductive allocation of an annual Xanthium chanadense growing in elevated CO_2"Oecologia. 137. 1-9 (2003)
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[Publications] Hikosaka K: "Light-acquisition and use of individuals as influenced by elevated CO2 in even-aged monospecific stands of Chenopodium album"Functional Ecology. 17. 786-795 (2003)
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[Publications] Hikosaka T: "A model of dynamics of leaves and nitrogen in a plant canopy"American Naturalist. 162. 149-164 (2003)