2004 Fiscal Year Annual Research Report
2次元蛍光スクリーニングによる光合成制御因子の解析
Project/Area Number |
14340250
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
園池 公毅 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30226716)
|
Keywords | 光合成 / 環境応答 / 調節因子 / クロロフィル蛍光 / パルス変調 / スクリーニング / シロイヌナズナ / T-DNA |
Research Abstract |
植物の生育、ひいては地球上のほとんどの生物の生育は光合成のエネルギーに依存しており、光合成の研究は、基礎研究の面からも、農学的、環境学的観点からも、盛んに行われてきた。ところが、植物が実際に自然界で生存し続けてゆくために重要な、環境に変化に応じた光合成の調節機構に関しては、まだ、ほとんど知見が得られていないのが現状である。そこで、この問題点を解決する手段として、材料に、遺伝的な解析が可能なシロイヌナズナのT-DNAタグラインを用い、環境応答に関する変異株をクロロフィル蛍光の2次元解析によりスクリーニングした。その結果、光合成系に微妙な変化の生じた変異株を数多く単離し、これらを解析することによって、光合成の制御メカニズムを解明することができた。これまでのスクリーニングによって、興味深い変異株が1つ得られ、cfa1と名付けた。cfa1の光合成の量子収率自体には大きな異常を示さないが、非光化学消光が野生株に比べて若干減少していた。今年度はこの変異株を詳細に解析した結果、光合成電子伝達のうち、循環的電子伝達に欠損があることを見いだした。循環的電子伝達にはPGR5が関与しているFQRを介した経路とNDHを介した経路の2つが存在することが知られている。NDH経路の活性化を、確認したところ、cfa1変異株にも野生型と同様のNDH経路の活性が見られた。このことから、cfa1変異株は循環的電子伝達の中でもFQRの経路に欠損があることが示された。酸素フリーの条件で強光を照射しNPQを測定すると、野生型では徐々にNPQが誘導されたのに対してcfa1変異株ではその誘導がさらに遅くなり、37-19-7ではcfa1変異株よりさらに遅くなった。このことから、pgr5はFQR経路の主要部分に影響を及ぼしているのに対し、cfa1はFQR経路の調節に影響を及ぼすと考えられる。
|
Research Products
(1 results)