2003 Fiscal Year Annual Research Report
光合成核遺伝子システムに特有なプロモーター構成と転写制御機構の解明
Project/Area Number |
14340253
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小保方 潤一 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (50185667)
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Keywords | 光合成遺伝子 / 葉緑体ゲノム / DNA転移 / コアプロモーター / コアプロモーター新生 / 進化 / TATAボックス |
Research Abstract |
植物の核遺伝子の多くはコアプロモーターの成分としTATAボックスをもっているが、光合成遺伝子群にはTATAボックスがあまりみられない。光合成核遺伝子の大部分は、もともと葉緑体ゲノムにコードされていたものが進化の過程で核ゲノムに転移し、そこで新たに真核型のプロモーターを獲得したものである。本研究では、光合成遺伝子群が特有なコアプロモーター構成をもつ理由を、転写制御機構の多様性と進化、という視点から解明する。本年度は、(1)葉緑体ゲノムから核への光合成遺伝子の転移機構、(2)核ゲノム中でのプロモーター獲得過程、の2点を中心に研究を進めた。主な成果は以下のとおりである。 (1)イネのゲノム塩基配列がほぼ解明されたので、その情報を利用して、核ゲノム中に含まれている葉緑体ゲノムに相同なDNA断片を網羅的に解析した、その結果、(a)葉緑体ゲノムは核ゲノムに頻繁に取り込まれ、(b)核ゲノム中で急速に断片化されるとともに激しくシャフリングされ、さらに(c)数十万年の半減期で、「急速に」核から排出されている事が強く示唆された。これらの新知見は、核とオルガネラのゲノムはそれぞれ孤立した存在ではなく、それらの間には定常的なDNAの流れがあることを示している。 (2)核に転入した葉緑体遺伝子が核ゲノム中で新規のプロモーターを獲得する確率はどのくらいあるのだろうか?この疑問を解くため、プロモーターを持たない構造遺伝子をシロイヌナズナの核ゲノムにランダム挿入し、プロモーター獲得がどのような頻度で生じるかを網羅的に解析した。その結果、染色体DNA上では極めて高い頻度で「プロモーター新生(=全く転写単位がなかったところに突然プロモーターが出現すること)」が生じることを見いだした。このような新生プロモーターTATAボックスやイニシエーターなどのコアプロモーター因子をランダムに含むことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hasegawa, K., Yukawa, Y., Obokata, J., M Sugiura: "The tRNALeu-like sequence within the promoter of an Arabidopsis clock-regulated gene is functional : efficient transcription by an RNA polymerase-III dependent in vitro transcription system."Gene. 307. 133-139 (2003)
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[Publications] Sasaki, T., Y.Yukawa, T.Miyamoto, Obokata, M.Sugiura: "Identification of RNA editing sites in chloroplast transcripts from the maternal and paternal progenitors of tobacco (Nicotiana tabacum) : comparative analysis shows the involvement of distinct trans-factors for ndhB editing"Molecular Biology and Evolution. 20. 1028-1035 (2003)
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[Publications] Nakamura, T., Y.Furuhashi, K.Hasegawa, H.Hashimoto, K.Watanabe.J Obokata, M.Sugita, M Suaiura: "Array-based analysis on tobacco plastid transcripts : preparation of a genomic microarray containing all genes and intergenic regions."Plant Cell Physiol. 44. 861-867 (2003)
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[Publications] Nagao, I., J.Obokata: "Poly(U) motif in the 5' untranslated region enhances the translational efficiency of the b-glucuronidase mRNA in transgenic tobacco."Plant Science. 165. 621-626 (2003)
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[Publications] Miyamoto, T., J Obokata, M Sugiura: "A site-specific factor interacts directly and sequence specifically with its cognate RNA editing site in chloroplast transcripts."Proc Natl Acad Sci USA. 101. 48-52 (2004)