2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 崇 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00273433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 光知 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20343238)
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Keywords | 成長相変換 / 花成 / 花成遺伝子 / 花成遅延変異体 / シグナル伝達 / 転写因子 / 転写メディエータ / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
花成制御機構が最もよく研究されているシロイヌナズナにおいて、様々な制御経路からの情報の集約点に位置づけられるFT遺伝子の作用機構を明らかにすることは、花成という現象の本質を理解するために必須である。本研究では、FT遺伝子の作用機構を明らかにするために、FT遺伝子と協同的にはたらく遺伝子群の研究を進めた。特に着目したのは、劣性の花成遅延突然変異により知られていた花成時期遺伝子FDとわれわれが新規に同定した遺伝子CRPである。 まず、fd変異がFT遺伝子の過剰発現による早咲き表現型をほぼ完全に抑圧することを明らかにした。この抑圧効果は、SOC1/AGL20遺伝子の過剰発現による早咲き表現型に対してはみとめられず、FT遺伝子に特異的なものであることが明らかになった。また、lfy変異体との二重変異体の表現型解析から、FD遺伝子はLFY遺伝子とともにAP1遺伝子の転写制御に関わっている可能性が示唆された。FD遺伝子のクローニングと解析の結果、その産物はbZIP型転写因子であること、発芽直後から非常に低レベルで構成的に発現し、光周期による制御を受けないことが明らかになった。さらに、FD蛋白質とFT蛋白質は酵母細胞内で相互作用しうることも明らかにした。これらの結果から、FT蛋白質は蛋白質間相互作用により、何らかの機構でFD蛋白質の活性を調節し、FD蛋白質はAP1遺伝子を含む花芽分裂組織の運命決定に関わる遺伝子の転写を制御する、という仮説を立て、検証を進めている。 CRP遺伝子は、FT遺伝子の過剰発現による早咲き表現型を劇的に昂進する優性変異により同定し、転写メディエータの構成因子のひとつTRAP230と相同性を持つ蛋白質をコードすることを明らかにしたものである。機能喪失変異体を得たところ、遅咲き表現型を含む多面表現型を示すことが判った。同遺伝子の花成における役割について解析を進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kojima, Shoko(小島晶子): "Hd3a, a rice ortholog of the Arabidopsis FT gene, promotes transition to flowering downstream of Hd1 under short-day condition"Plant&CellPhysiology. 43巻10号. 1096-1105 (2002)
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[Publications] 荒木 崇: "長日植物における花成制御理解の現状と未解決の課題"蛋白質核酸酵素. 43巻8号. 1535-1540 (2002)
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[Publications] 日本光合成研究会(編): "光合成事典(分担執筆)"学会出版センター(未定 印刷中). (2003)