2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶構造解析による光化学系II複合体の分子機構の解明
Project/Area Number |
14340257
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
沈 建仁 岡山大学, 理学部, 教授 (60261161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 昌彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20159601)
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / 結晶化 / 膜タンパク質 / タンパク質複合体 / 結晶構造解析 / 放射光 / X線 |
Research Abstract |
これまで好熱性ラン色細菌Thermosynechococcus vulcanus由来光化学系II複合体(PSII)の結晶構造を3.7Å分解能で解析・報告し、また前年度は結晶の分解能を3.5Åに改善し、構造解析を行ってきた。本年度では、PSII結晶の分解能をさらに改善するため、各種結晶化条件、特に結晶化に必要な時間を短縮することで分解能3.2Å結晶の析出に成功し、当該分解能における母結晶の回折データを収集した。新しい回折データとこれまで取得した実験位相を用いて新しい電子密度図を計算し、PSII構造モデルの精密化を行っている。 一方、PSII結晶の分解能を3.0Åを超えるまでに改善するために必要な条件探索を行い、本年度ではPSIIにおける脂質の分析を行った。その結果、チラコイド膜に比較して精製PSIIではDGDG, MGDG, SQDGの含量が減少したのに対し、PGの含量は著しく増加した。さらに精製PSIIをホスホリパーゼにより処理することで酸素発生活性が約40%低下した。これらの結果はリン脂質がPSIIの構造や活性維持に重要な役割を持っていることを示し、結晶化にもリン脂質の添加が有効かもしれないことを示唆している。 Native PSIIの構造解析と同時に、PSII各種低分子量サブユニットの構造的役割を解明するため、それらの欠失変異株の作製・大量培養・精製・結晶化を行っている。これまでThermosynechococcus elongatusを用いてpsbM, psbX欠失変異株を作製し、大量培養・PSII標品の精製を行ったが、従来の方法では結晶化に用いることができるPSII標品を精製することができなかった。そこでT.vulcanusの形質転換系を確立し、psbTc欠失変異株を作製し、大量培養し、PSII標品の精製を行った。その結果ある程度純度の高いPSIIを得ることができ、それを用いた結晶化条件の探索を行った
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Research Products
(5 results)