2004 Fiscal Year Annual Research Report
卵成熟におけるサイクリンB翻訳開始機構の分子形態学的解析
Project/Area Number |
14340258
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 正兼 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30202378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箕田 康一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50281845)
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Keywords | 卵成熟 / アカガエル / シグナル伝達 / 翻訳制御 / サイクリンB / フォスファチジルイノシトール3-キナーゼ / プロテインキナーゼB |
Research Abstract |
卵成熟促進因子(MPF)はCdc2とサイクリンBの2種の蛋白質の複合体で、卵成熟誘起の最終引き金を引く。ニホンアカガエル未成熟卵母細胞にはCdc2は存在するが、サイクリンBはなく、そのmRNAが翻訳抑制状態で存在する。プロゲステロン刺激を受けると、卵母細胞内でサイクリンBmRNAの翻訳が開始され、MPFが形成・活性化されて卵は成熟する。しかし、卵表面でのホルモン刺激受容から、卵母細胞内でのMPF活性化に至る分子経路の詳細は未だ不明である。ニホンアカガエル卵成熟誘起におけるシグナル伝達経路を明らかにするため、種々のシグナル伝達系で働くと予想されるフォスファチジルイノシトール3-キナーゼ/プロテインキナーゼB(PI3-K/PKB)の関与を調べた。PI3-K阻害剤(wortmanninとLY294002)は、プロゲステロンによる卵成熟を阻害し、その効果はホルモン刺激直後に処理した場合に限られた。また、抗PKB抗体の卵母細胞内への微小注射は、プロゲステロンによる卵成熟を濃度依存的に阻害した。これらの阻害剤の作用点は、サイクリンBmRNAの翻訳開始前であった。一方、卵母細胞内で強制発現させた恒常的活性型PKBは、高いキナーゼ活性を有するにも関わらず、それ自身では卵成熟を誘起しないし、プロゲステロンによる卵成熟も促進しなかった。また、卵成熟過程においてPKB活性に顕著な変動は見られなかった。さらに、NL-71-101等のPKB阻害剤はプロゲステロンによる卵成熟を阻害しなかった。これらの結果から、ニホンアカガエル卵成熟過程でPI3-Kは機能すると考えられるが、その下流でPKBが機能する可能性は疑問であると結論された。現在、PI3-Kの標的分子として、プロテインキナーゼCゼータに注目し、解析を進めている。
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Research Products
(2 results)