2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340264
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
道端 齊 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00111740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 洋 理化学研究所, タンパク質構造機能研究グループ, プロジェクト副ディレクター(研究職) (00126153)
金森 寛 富山大学, 理学部, 教授 (00019001)
植木 龍也 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10274705)
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Keywords | ホヤ / バナジウム / 濃縮機構 / 金属結合タンパク質 / EST / 解離定数 |
Research Abstract |
ホヤは高濃度かつ高選択的にバナジウムを濃縮している。その濃度は海水のバナジウム濃度の1,000万倍(10^7)に相当する350mM濃度に達し、濃縮されたバナジウムはバナジウム濃縮細胞(バナドサイト)の液胞内の硫酸酸性下(pH1.9,500mM H_2SO_4)で、生体には稀な三価に還元されて蓄えられる。他の生命体に例を見ないこの特異な生理現象は、金属イオンの選択的濃縮機構を解明する上で格好のモデルであり、化学と生物学にまたがる学際的問題として強い関心を引き付けてきた。我々はこの生理現象を、A:選択的濃縮機構、B:バナジウムの還元機構、C:濃縮のエネルギー機構の3つに分けて、それぞれに関与するタンパク質や遺伝子の探索とその機能解析を精力的に行ってきた。 本研究では、特に選択的濃縮機構に焦点を絞って研究を推進してきた。選択的濃縮機構のカギを握るバナジウム結合タンパク質(Vanabin1とVanabin2)の組み替えタンパク質を作製し、Hummel-Dreyer法によって金属イオンとの結合数と解離定数の測定を行った。その結果、Vanabin1とVanabin2は、それぞれ10個と20個の四価バナジウムと結合し、その解離定数は2.1×10^<-5>Mと2.3×10^<-5>Mであった。また、二価の銅イオンはバナジウムの結合を競争的に阻害的したが、二価マグネシウムと六価モリブデンは阻害しなかった。一方、スジキレボヤの血球のEST解析を行って300クローンを得た。その中の29クローンが金属関連タンパク質をコードするクローンであった。また、京都大学の佐藤らが作製したカタユウレイボヤのcDNAライブラリーからVanabinのホモログを5クローン検索した。現在、それらを元に作製した組み換えタンパク質の金属結合能をスジキレボヤのそれと比較し、種によるバナジウム濃縮機構の違いを検討している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 道端 齊: "脊索動物-ホヤのバナジウム濃縮"化学と生物. 40. 687-692 (2002)
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[Publications] Michibata, H.: "Vanadocyte is a cell holding the key to resolve the highly selective accumulation and reduction of vanadium in ascidians"Microscop. Res. Technol.. 56. 421-434 (2002)
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[Publications] Yamaguchi, N.: "Expressed sequence tag analysis of blood cells in the vanadium-rich ascidian, Ascidia sydneiensis samea-a survey of genes for metal accumulation"Zool. Sci.. 19. 1001-1008 (2002)
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[Publications] Ueki, T.: "Vanadium-binding proteins(vanabins) from a vanadium-rich ascidian Ascidia sydneiensis samea"Biochim. Biophys. Acta. (印刷中). (2003)