2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340273
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 貴文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20184533)
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Keywords | 体色 / 毛色 / MC1R / AIM1 / ASIP |
Research Abstract |
COS-7細胞での一過性発現と酵素免疫法によるcAMPアッセイの結果、みつけた変異型は野生型よりも有意に低いcAMP産生能を示した。これらの結果から、野生型と変異型の分布頻度の差、そして機能的な差がヴェッダ、オセアニア人と他のアジア人との間に観察される皮膚色の相違の遺伝的背景であると考えられる。また、東北アジア人の間では非常に低い活性を示す変異が4種類同定された。この集団では、低頻度ではあるが金髪や非常に明るい皮膚色といった形質が確認されており、これら4種類の変異がこのような表現形と関連していると考えられる。 スラウェシマカク7種は総じて黒い体毛色を呈するが、幾つかの種においては、体の全体あるいは一部分に著しい体毛色の明化が確認されている。このような体毛色の明化を示す種(ヘックザル、ムナ・ブトンザル、ブーツザル、ムーアザル)では、MC1Rの機能的に重要と予測されるアミノ酸置換が生じており、一方、著しい明化を示していない種(クロザル、ゴロンタロザル、トンケアンザル)ではこのようなアミノ酸置換は確認されなかった。 テナガザルは種間、種内での体毛色多様性が著しく、性的二型が存在する種(ボウシテナガザル、コンカーラテナガザル、フーロックテナガザル)、性に関係なく多型的な種(シロテテナガザル、ミューラーテナガザル、アジルテナガザル、ワウワウテナガザル)、そして単型的な種(クロステナガザル、シアマン)が存在する。多型的な体毛色を示すシロテテナガザルについて、MC1Rのハプロタイプを決定した。その結果、MC1Rプロタイプとシロテテナガザルの体色多様性との間に有意な関連性は見られなかった。しかし、in vitroにおける機能解析の結果、テナガザルのMC1Rは恒常的活性型に進化している可能性が示された。
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