2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合を含む物質の反磁性異方性と非磁性物質における新たな磁気機能の開拓
Project/Area Number |
14350008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 千秋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50176591)
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Keywords | 反磁性異方性 / 水素結合 / 磁場整列能率 / 無機酸化物 |
Research Abstract |
一般に反磁性異方性は電子の空間分布の異方性に由来するが、無機酸化結晶においては、結合軌道の電子分布が上記異方性の主要部分を担っていると考えられる。研究代表者は無機絶縁酸化物の反磁性異方性(Δχ)_<DIA>の起源を解明する目的で、測定値の集積とその解析を進めてきた。具体的には、結晶中の個々の結合軌道が一定の(Δχ)_<DIA>値を持ち、その単純和により結晶固有の反磁性異方性が発生すると仮定して理論値を計算した。その結果、測定で得た測定値および安定軸の方向が矛盾なく説明され、結合軌道一本当りの反磁性異方性の値が推定された。無機酸化結晶を構成する主要な結合のタイプとして、酸素4配位、酸素6配位および水素結合の3種類が考えられる。今回、酸素6配位のM-O結合で構成されたMgO, Al_2O_3, Mg(OH)_2, Al(OH)_3およびAlOOHについて(Δχ)_<DIA>を集積し、上と同様の解析を進めた。その結果、M-O結合についても、酸素4配位や水素結合同様、一本の結合が一定の(Δχ)_<DIA>を持つと仮定する事で、測定結果が説明された(下図参照)。3種類の結合の計算値はいずれも負の値を示すが、これは結合方向が磁気的に不安定で、電子分布が結合軸に対し相対的に垂直方向の広がりをもつ事を示唆している。また結合一本当の(Δχ)_<DIA>値は結合種によって其々大きく異なるが、これは各々の結合軌道の電子密度および軌道半径に起因すると考えられる。 無機酸化物の反磁性異方性は、結晶中における結合方向の角度分布が、等方的な配置から特定の結晶軸の方向へ僅かに配向しているために発生する事が予想される。すなわち、無機酸化物は一般に有意の磁場整列能率を有することが予想される。無機絶縁結晶の(Δχ)_<DIA>は一般に微弱で検出が難しく文献値も限られて来た。右図から推定される結合軌道一本当りの(Δχ)_<DIA>値および結晶の原子位置データを用いれば、磁場整列実験が実施されていない無数の酸化物に関して、整列に要するおよその磁場強度が推定できる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] C.Uyeda, T.Komatsu, M.Sakakibara, K.Tanaka: "Magneto-rotation experiments of micron-sized particles dispersed in a diffused gas medium oriented to reproduce the dust alignment in the interstellar region"Astron. Astrophys.. (in print). (2003)
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[Publications] C.Uyeda, M.Sakakibara, K.Tanaka: "Magneto-Rotation of Micron-sized Diamagnetic Single Crystals Dispersed in Diffused Medium in Micro Gravity Condition"Proc. Drop Tower Days 2002 in Japan. 83-87 (2002)
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[Publications] C.Uyeda: "Magneto-Rotation of Non magnetic Insulators and Its Magnetic Oscillation Induced in Micro-Gravity"Proc. Space Utilization Symposium. 19. 129-132 (2003)
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[Publications] C.Uyeda, M.Sakakibara, K.Tanaka: "Magneto-Rotation of Non-magnetic Micro-Crystals Dispersed in an Atmosphere and the Condition for Reproducing Dust Alignment"Proc. IAU Asian-Pacific Regional Meeting. 8. 233 (2002)