2003 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合を含む物質の反磁性異方性と非磁性物質における新たな磁気機能の開拓
Project/Area Number |
14350008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 千秋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50176591)
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Keywords | 反磁性異方性 / 水素結合 / 磁場整列能率 / 無機酸化物 |
Research Abstract |
分散媒中の非磁性粒子は、その磁化率の異方性Δxのために磁場配向することが知られている。既存のレンジュバン理論によると粒子の配向状態は、粒子に誘導される磁気異方性エネルギーと、粒子の磁気的安定軸の方向をランダム化させる熱運動とのバランスで決まる。配向に必要な磁場強度は粒子のモル数N、Δxおよび分散体の温度Tに依存する。Tに関しては、高純度の反磁性グラファイト粒子を液体エタノールに分散させ、T=273K〜180Kの範囲で磁場配向を測定した。整列磁場Bsは、整列度<m>=<(3cosθ-1)/2>が<m>=0.8に達するのに必要な磁場強度で定義され、Bs=(15k_BT/NΔx)^<1/2>と計算される。ただしθは粒子の磁気的安定軸と磁場のなす角を表す。測定されたグラファイトのBs値は上式に従ってT^<1/2>に比例した。当グループでは近年、コランダム、白ウンモ、生セッコウ、KDPなど基本的な無機酸化物の反磁性異方性を検出し、測定値に基づく考察から大部分の酸化物が有意の異方性をもつ可能性を指摘した。したがって高純度の反磁性絶縁物の粒子に関して、Bs値は一般にT^<1/2>依存することが予想される。結晶中に常磁性イオンが含まれる場合、これに起因するΔxがキュリー則に従うため、Bs値は十分低温ではTに比例する事が予想される。これを検証するため、カオリナイトおよびタルクの測定を行ない、上記の比例関係を確認した。温度をT=10Kまで低下させた場合、整列はハンドマグネット程度の弱磁場で実現する。これを検証するため、Heガスを分散媒とした実験装置を開発した。T=10Kでの配向は星形成領域でのダスト整列の機構を解明する上で重要なステップとなる。ダスト整列は現在、恒星や惑星が形成される過程を支配する分子雲領域の磁場構造を決定するための観測的基盤となっている。しかしその整列のメカニズムは、完全には解明されていない。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] C.Uyeda et al.: "Stabilization of the Position of a Solid Body Isolated in Micro gravity…"Jpn.J.Appl.Phys.. 42. L1226-L1228 (2003)
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[Publications] C.Uyeda et al.: "Characteristics of Paramagnetic Anisotropy which Induce Magnetic Alignment…"Mater.Trans.. 44. 2594-2598 (2003)
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[Publications] C.Uyeda et al.: "Temperature dependence of the magnetic rotation process of kaolinite microcrystals"Phys.Chem.Minerals. 30. 425-429 (2003)
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[Publications] C.Uyeda et al.: "Magnetic Alignment of Micron-Sized Particles at Low Temperature"J.Phys Soc Jpn. 73. 496-497 (2004)
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[Publications] C.Uyeda et al.: "Diamagnetic Anisotropy of Inorganic Oxides"J Phys Soc.Jpn. 72. 2334-2337 (2003)
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[Publications] C.Uyeda et al.: Jpn.J Appl Phys.. 43(印刷中). (2004)