2004 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合を含む物質の反磁性異方性と非磁性物質における新たな磁気機能の開拓
Project/Area Number |
14350008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 千秋 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (50176591)
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Keywords | 反磁性異方性 / 水素結合 / 微小重力 / 磁気異方性測定 / 低温 / 弱磁場 / 生セッコウ / KDP |
Research Abstract |
1.微小重力を利用した測定法において磁場強度B=1.3Tの装置を製作し、1x10^<-8>emu/gレベルの感度を達成した。この感度により、従来は測定が困難だった反磁性酸化結晶のΔχを決定する。上記のΔχ測定法においてこの感度により生セッコウ、方解石、KDP、魚眼石などΔχ値が既知の物質について測定を行い、測定値と文献値の比較を行なった。集積したΔχにより、水素結合に起因する反磁性異方性の起源解明を進めることが可能となった。 2.結晶粒子の磁場配向実験はこれまで室温の液体を分散媒として行われ、温度変化が測定されることはなかった。当グループではこれまでに、Heガス中に分散した粒子の磁場配向を観測できる装置を開発した。これに低温の窒素ガスを冷媒として用いることで、配向実験が室温〜80Kの温度範囲で可能となった。弱磁性の微結晶はその磁気異方性Δχのために磁場配向する。微結晶と分散媒が温度Tで熱平衡にあるとき、配向に要する磁場強度はBs=(15k_BT/NΔχ)^<1/2>と計算される。純粋な反磁性体(グラファイト)の場合、そのBsはT^<1/2>に比例して低温で減少した。これに対し4.2wt%Feのフォルステライトでは、磁性イオンに起因する常磁性異方性(Δχ)_<PARA>が優勢となった。即ち(Δχ)_<PARA>がキュリー則に従うためBsはTに比例し、低温でのBsの減少率が反磁性体に比べ格段に大きくなった。当グループではこれまで基本的な反磁性無機物について、その物質固有の反磁性異方性Δχ値を集積してきた。これらの物質の結晶粒子(粒子径1-2μm)について配向実験を実施することにより、上記BsのΔχ依存性を10^<-5>〜10^<-10>emu/gの広範囲で検証した。その解析の結果、大多数の反磁性物質に関してミクロンサイズ粒子は1T程度の磁場で配向することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)