2005 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合を含む物質の反磁性異方性と非磁性物質における新たな磁気機能の開拓
Project/Area Number |
14350008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 千秋 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (50176591)
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Keywords | 磁気異方性 / 磁気回転 / 磁気振動 |
Research Abstract |
当グループでは黒鉛、方解石、生セッコウ、酒石酸、尿素などポピュラーな非磁性結晶を微小重力により浮遊させておき、磁場でそれらを回転振動させる事にはじめて成功した。この振動は方位磁石のN、S極が、地球磁場に対して振り子運動するのと同様の原理で発生する。即ち非磁性の結晶に磁気的に安定な方向が存在し、これが磁場に対し回転振動する。・この観測から、個々の物質が固有にもつ整列特性が測定できた。具体的には磁場に対して結晶の磁気的安定軸の方向が振り子運動する周期から、整列特性を観測した。当グループでは以前に、結晶を極細の糸で水平磁場中に吊るすことで整列特性を検出したが、今回の方法のほうが今後、格段に高い感度を達成できる。また、今回の磁気回転は超伝導磁石を必要としない1万ガウス程度の磁場(希土類永久磁石NEOMAX)で実現する。単結晶の磁気的安定面を磁場に対して45°傾け、磁場中心の位置にセットする。微小重力の達成直後に試料台を図の下方に高速度で離す。その後、磁場を鉛直方向にかけた結果、黒鉛単結晶の安定面が磁場方向を中心に回転振動する。これに対し多結晶黒鉛は振動を示さない 地上の微小重力実験施設では4.5秒間しか結晶は浮遊せず、これより長い周期の回転振動は測定できない。宇宙ステーションで測定が実現し場合、極度に低速度の振り子運動が観測できる。これに伴って限りなく小さな整列特性を検出することが期待される。・非磁性物質が、磁石の性質を有さないにもかかわらず、なぜ磁場で整列するのか完全には解明されていない我々は「結晶中の個々の化学結合の電子の広がりが原因である」とする仮説を提唱し、測定値を矛盾なく説明した。言うまでもなく固体は全て化学結合で構成されており、この仮説に従うなら物質の大多数が、実用的な低い磁場で整列することになる。
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Research Products
(2 results)