2003 Fiscal Year Annual Research Report
パターン化負イオン注入処理によるバイオインターフェイスの形成
Project/Area Number |
14350020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00225666)
佐藤 弘子 京都大学, 工学研究科, 助手 (00093245)
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
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Keywords | 負イオン注入 / 接触角 / 神経細胞接着性 / 人為的神経回路網 / バイオインターフェイス / 神経突起伸展特性 / 神経再生 / 再生医療 |
Research Abstract |
(1)電極パッド付きパターン化負イオン注入基材での神経回路形成に関する研究 ガラス基板上のスピンコートポリスチレン薄膜に炭素負イオンをパターン幅50μmのマスクを介して注入処理を行った基材上でPC-12h神経細胞を培養した。10keV以上の注入エネルギー、1x10^<15>ions/cm^2以上の注入量での負イオン注入処理条件では、神経細胞はパターンに従って細胞接着と神経突起の伸展特性を示した。また、顕微鏡下での培養により、細胞増殖や神経突起伸展など分化過程を記録した。 (2)負イオン注入処理高分子基材表面の物性評価と神経再生に及ぼす効果に関する研究 負イオン注入処理ポリスチレン表面は、注入に起因する欠陥があり、表面は保存環境や時間変化と共に緩やかに変化したが、水中における気泡を用いた接触角測定では比較的良く表面の親疎水性の変化を評価し得た。XPS分析による吸着窒素原子の評価により負イオン注入処理により表面のタンパク吸着特性が向上することが判明した。他方、炭素負イオン注入シリコーンチューブを用いたラットの神経再生実験の結果、神経再生、特に、神経突起伸展の促進が観測され、神経再生ガイドチューブへの応用が期待される。以上の結果から、負イオン注入処理高分子表面は接着因子タンパクの吸着が促進されており、このタンパク吸着特性の改善が負イオン注入処理部分への神経細胞の選択的接着、神経突起の選択的伸展などの要因となっていることが明らかとなった。 (3)外部パルス印加によるパターン化神経細胞からの神経突起伸展特性に関する研究 電極パッドを有するパターン化負イオン注入試料上で神経細胞培養を行い、容量性結合を介して外部から3Vの電気パルスを印可した状況で神経突起の突起伸展状況を長時間記録カメラ装置で観察した。その結果、外部刺激部位への神経突起伸展が顕著となり、外部電気刺激が神経突起伸展を促進する要因の一つであることが判明した。 (4)パターン化培養神経回路網におけるパルス伝達と活動電位測定に関する研究 形成したパターン化PC12-h培養神経回路網に微小ガラス電極を用いて電気刺激を与え、神経活動電位やパルス伝達の測定を試みたが、雑音対策が不完全で応答特性は微弱であった。今後、電磁シールドの強化やシナプス形成能力の優れた神経細胞を用いる必要が有ることが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Tsuji, M.Izukawa, R.Ikeguchi, R.Kakinoki, H.Sato, Y.Gotoh, J.Ishikawa: "Improvement of Polydimethylsiloxane Guide Tube for Nerve Regeneration Treatment by Carbon Negative-Ion Implantation"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. B 206. 507-511 (2003)
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[Publications] H.Sato, H.Tsuji, H.Sasaki, S.Ikemura, Y.Gotoh, J.Ishikawa, S.Nishimoto: "Selective Neurite Outgrowth on Silver Negative Ion (Ag-)-Implanted Polystyrene Surfaces"Chinese Journal of Polymer Science. 22・1. 69-75 (2004)
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[Publications] 辻 博司, 武藤 隆, 宇田川善行, 後藤康仁, 石川順三: "負イオン注入処理高分子材料の気泡による親疎水性の評価"第2回21世紀連合シンポジウム-科学技術と人間-論文集. 251-252 (2003)