2004 Fiscal Year Annual Research Report
非球面レンズ創成のための新3次元レーザマイクロ加工法に関する研究
Project/Area Number |
14350066
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
池野 順一 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10184441)
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Keywords | レーザ加工 / 非球面レンズ / 塑性加工 / 転移点 / 線膨脹係数 / ガラス / 割断 / マイクロ加工 |
Research Abstract |
光通信やIT産業の著しい発展に伴って、超精密微細光学部品の需要が高まっており、非球面レンズなどの加工法が問題となっている。国際競争力を付けるためには、多品種少量生産にも対応し、低コストなクリーンな超精密微細加工法の開発が強く望まれている。そこで、本研究では非球面レンズ創成のための新3次元レーザマイクロ加工法として、2つの加工法を提唱し、その確立を目指した。 1.線膨張係数の急激な変化を利用した凸非球面レンズ創成法…レーザで局部を急加熱し、転移点以上の温度にすることで凸部が形成できる。この時のビーム強度分布や熱拡散を考慮して球面レンズの創成を試みた。また、型やスタンピングなど塑性加工と併用することも試み、非球面レンズ創製の可能性を探った。その結果、正確な球面の創製が可能であることが分かった。さらに、スタンピングが可能であり、平面の転写や型の転写が可能であった。これにより、非球面創成の可能性を得た。本研究を遂行中、レーザを重複させることでYAGレーザを透過しやすいガラス材料に対しても凸レンズが形成容易であることを見出した。さらに、一度に硝子板の表裏に2個のレンズを創成でき、導光板などの応用についても検討した。 2.熱歪みの精密微細制御による凹非球面レンズ創成法…ある条件でパルスレーザを照射すると、凹面形状が創成される。これは熱歪みが生じ、ある境界面で引っ張り応力が発生するためである。これを基にしてビーム強度分布を制御、もしくはCWビームスポット高速走査によるエネルギー分布制御によって、精密微細熱歪み分布を形成し、非球面マイクロレンズの創成を試みた。その結果、冷却によって応力を大きくすることで、凹面レンズ創成条件を広げることができた。さらにFEM解析によって、応力分布を求め球面創成が可能であることを予測できた。しかし、球面の底部にへそのように凹凸が残留し、正確な凹面形状は得られなかった。しかし、この加工法の研究を通して新しい加工法を考案することができたので3.として以下に示す。 3.自己収束型凹レンズ創成法…球面凹レンズを創成する手法として、エッチングとレーザ加工を組み合わせた加工法を考案し、実証した。ガラスは化学エッチングに対し、等方性であるため何処も同じ量だけ除去される。したがって、レーザでガラス表面にいい加減な窪みを創成し、その後のエッチングによって球面が仕上がってしまうのである。4時間のエッチング後では球面誤差は0.1μm以下であった。この手法を利用してレーザを再度照射し、エッチングを行うことで非球面創成が可能になるものと期待される。 以上、本研究では非球面創成のためのレーザ微細加工の研究を行い、大変有用な知見を得ることができた。今後も引き続き研究を行い、非球面の創成を実現すべく、本技術を育成する予定である。
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Research Products
(9 results)