Research Abstract |
体内に装填されるTiインプラントの表面形状は,メーカーによって表面処理方法が異なり,いろんなマイクロテクスチャ形状をしている.この表面の微細凹凸形状お生体適合性への影響が,よく議論されているが,まだ定説が得られるまでには至っていない. 本研究では,個体差に応じた寸法や3次元形状のチタン材表面に対し,深さやピッチがサブミクロン〜ミクロン領域のマイクロテクスチャ形成を目的として,ラビング加工,ローリング加工およびフライカッティングに対して,その可能性について実験検討している.それによれば, (1)ローリング加工およびラビング加工: 自由曲面に定圧倣い加工によりマイクロテクスチャを形成する目的で,微細超硬ロールを用いたローリング加工,およびこのロールの回転を止めて行うラビング加工に対して,加工実験およびFEM解析によりその加工メカニズム解明を行っている.それによれば,サブミクロン領域の微細溝成形における材料の変形挙動には,両者に大差が認められない.一方,ミクロン領域においては,ラビング加工では送り方向に垂直な断面内の溝幅方向に押し開く塑性流動をすること,またローリング加工では,溝深さ方向に押し込む塑性流動をすることにより,微細溝が形威されることなどを明らかにしている. (2)フライカッティングによるインプラントのサンプル試作およびラットへの装埋テスト: 第2年度までのフライカッティングの加工実験結果をもとに,ピッチ10μm,溝底角90°の多条V溝のマイクロテクスチャを形成した砲弾型の純チタンサンプルを試作し,ラットに装埋し生体適合性を評価した〔評価;新潟大学歯学部が担当〕.それによれば,マイクロテクスチャサンプルでは,装埋後のかなり初期の段階で,骨生成の核となる兆候が認められ,明らかに有意差のあることが確認された.このことから,マイクロテクスチャ形成による生体適合性が向上すると言える.
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