2003 Fiscal Year Annual Research Report
沸騰二相流中の障害物によるドライアウト発生機構に関する熱流動工学的研究
Project/Area Number |
14350094
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
深野 徹 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60037968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 正夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30274484)
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Keywords | 沸騰二相流 / ドライアウト / バーンアウト / 流動障害物 / 限界熱流速 |
Research Abstract |
沸騰水型原子炉の熱工学的な設計上の制約は燃料棒支持用スペーサ近傍での熱除去によることが、実規模実験より確認されている。しかしスペーサ近傍の冷却材(水)の挙動と加熱管がバーンアウトへ至る機構は明確ではない。このような現状をふまえ、本研究ではスペーサ近傍における液膜の消失およびバーンアウトへ至る機構を実験的に明らかにすることを目的とした。 本研究で得られたおもな知見は以下の通りである。 1.スペーサ近傍で発生するバーンアウトに関して、おもに流動様相に着目して検討を行った。その結果、バーンアウト発生のトリガとなるドライアウトの発生は、じょう乱波間隔が大きくなった場合にじょう乱波間の基底液膜部の蒸発により発生すること、スペーサ下流側では、じょう乱波の到達とともに液膜が再付着しやすく、バーンアウトは全く発生しないことがわかった。特にドライアウト発生にはじょう乱波が支配的役割を果たすことを明らかにした。 2.上記の知見に基づいて、スペーサ設置部を通過するじょう乱波により変動するスペーサ部の差圧を測定し、統計的に処理することでドライアウトおよびバーンアウト発生確率から重要な結果を得た。すなわちスペーサ上流側は、一旦ドライアウトが発生すると液膜が再付着しにくいため、バーンアウトが発生しやすく、その反対にスペーサ内部ではドライアウトが発生しても、じょう乱波の通過により液膜が付着しやすいため、バーンアウトの発生確率は低い、などである。また時々刻々のドライアウト発生を説明するには、二相流に特有の『非定常性』を考慮する必要があること、さらにバーンアウト発生において、スペーサがその下流に与える影響が非常に大きいことなどが明らかにした。 3.供試部に2個のスペーサを挿入し、上流側のスペーサが下流側スペーサ近傍の液膜厚さやドライアウト発生に与える影響を調査した結果から、スペーサ間隔が狭いほど限界熱流速が高く、バーンアウトしにくいこと、スペーサはじょう乱波流れの液膜厚さを平均化し、スペーサ下流側での液膜が厚くなり、ドライアウトは発生しにくくなること、スペーサ間隔に関わらずバーンアウト発生確率の高い箇所は、下流側スペーサの上流付近であること、を明らかにした。 4.以上の結果を矛盾なく説明し、二相流の非定常性を十分考慮したバーンアウト発生機構を説明する流動モデルを提案した。このモデルではじょう乱波が重要な役割を果たし、バーンアウトは擾乱はに挟まれた基底液膜部で生じる。
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[Publications] Fukano T. et al.: "Relation between Temperature Fluctuation of a Heating Surface and Generation of Drypatch Caused by a Spacer in a Vertical Boiling Two-Phase Flow in a Annular Channel"Nuclear Engineering and Design. 217・1-2. 81-90 (2002)
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[Publications] Fukano T. et al.: "Fluctuation Characteristics of Heating Surface Temperature Near an Obstacle in Transient Boiling Two-Phase Flow In a Vertical Annular Channel"Nuclear Engineering and Design. 219-1. 47-60 (2002)
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[Publications] 森 昌司, 深野 徹: "鉛直な環状流路内沸騰二相流中の流動障害物を通過するじょう乱波による差圧変動特性とバーンアウト発生との関係"日本機械学会論文集B編. 69-680. 909-917 (2003)
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[Publications] Mori S., Fukano T.: "Influence of a Flow Obstacle on the Occurrence of Burnout in Boiling Two-Phase"Nuclear Engineering and Design. 225/1. 49-63 (2003)
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[Publications] 森 昌司, 深野 徹: "鉛直な環状流路内沸騰二相流中の流動障害物がその下流におけるバーンアウト発生に与える影響"日本機械学会論文集B編. 70-689. 159-167 (2004)