Research Abstract |
温度差マランゴニ対流は,液体自由表面内の温度勾配に起因する表面張力の分布によって誘起される流れであり,融液からの材料生成の際に,好ましくない影響を及ぼす.材料生成を模擬して液柱の上下端面に温度差を印加すると,自由表面上を高温側から低温側に対流が誘起される.このとき,温度差がある一定値を超えると,流れは振動流に遷移し,定在振動流または回転振動流に移行する.本研究では,この振動流を制御する方法を実験的に研究した.すなわち,液柱の周囲に,マイクロセンサーとマイクロヒーターを配置し,センサーからの温度信号をフィードバックしてヒーターに加熱信号を与えることにより,振動流を安定な軸対象流に抑制することを目標とするものである. これまでに,液柱内マランゴニ対流における非線形対流場に対し,非制御時に支配的なモード構造のみを対象とした制御(単一モード制御)を行なって来た.その結果,従来にない強い非線形対流場の完全な抑制に成功したが,さらに強い非線形対流場では,制御中に異なるモード構造が励起されることで,抑制効果が低下することを見出している.そこで本研究では,複数のモード数よりなる構造を想定し,かつ時々刻々の振動周期を迅速に推定する手法を考案することにより,複数のモード構造を対象とした制御法を構築し,かつ適用した.その結果,単一モード制御に比べ,抑制効果を大きく向上させることができた.また,これまでの制御法では,かえって励起することになっていたモード数を抑制することに成功した.
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