2003 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性/反強磁性積層膜の微細組織・界面構造制御による巨大交換磁気異方性の導出
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14350156
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
角田 匡清 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80250702)
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Keywords | 交換磁気異方性 / スピンバルブ / 磁性薄膜 / 反強磁性 / マンガンイリジウム合金 / エピタキシャル成長 / 一方向磁気異方性 |
Research Abstract |
超清浄雰囲気スパッタ法を用い熱酸化膜付きSi基板ならびにMgO単結晶基板上にSub./U.L./Mn-Ir/Co-Fe積層膜を作製しその交換磁気異方性について検討を行った。{110},{001},{111}の各結晶配向面を有するMgO上へエピタキシャル成長させた積層膜を用い、磁気トルク解析の手法を用いてMn-Ir膜の各結晶配向面内での磁気異方性エネルギーを決定した。また、結晶配向面の異なるそれぞれの積層膜について一方向異方性定数(J_K)の反強磁性層厚依存性を検討した。その結果、反強磁性層の臨界膜厚(d_<AF^<cr>>)は、結晶配向面に依らず約30Å一定であったのに対して、J_Kの最大値は、(110)面で0.73erg/cm^2、(111)面で0.48erg/cm^2、(001)面で0.28erg/cm^2の各値を示し、強い結晶配向面依存性があることが明らかとなった。一方、熱酸化膜付きSi基板上に作成したMn-Ir/Co-Fe積層膜は、基板面に平行に(111)面が配向した膜面内無配向の多結晶膜となった。多結晶積層膜におけるJ_Kは、積層界面における異種原子の相互拡散を生じないような低温(<300℃)で、磁界中で熱処理を行うことによって、熱処理時間の増大に伴って徐々に増大してゆき、熱処理温度250℃の条件下で200時間の熱処理後に、室温で最大0.87erg/cm^2の極めて大きな値を示した。この値はこれまでに報告された如何なる強磁性/反強磁性積層膜の一方向磁気異方性定数よりも大きなものであり、加えてその導出に必要な反強磁性層厚が50Åと極めて薄いことから、超高密度ハードディスクの再生磁気ヘッド用スピンバルブ薄膜への応用に極めて有用であることを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 角田匡清: "強磁性/反強磁性積層膜の交換磁気異方性-反強磁性層の磁気異方性とその役割-"日本応用磁気学会誌. 28. 55-65 (2004)
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[Publications] Takashi Sato: "Orientational dependence of exchange anisotropy of Mn-Ir/Co-Fe epitaxial bilayers"JOURNAL OF APPLIED PHYSICS. (発表予定). (2004)