2004 Fiscal Year Annual Research Report
微結晶シリコン系薄膜の局在準位の評価とその低減に関する研究
Project/Area Number |
14350163
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
野々村 修一 岐阜大学, 工学研究科, 教授 (80164721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 憲充 岐阜大学, 工学研究科, 助教授 (70293545)
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Keywords | 微結晶シリコン系薄膜 / 微結晶シリコンカーバイド薄膜 / 温度可変光熱ベンディング分光法 / 低エネルギー光吸収 |
Research Abstract |
本研究は、光キャリヤー生成層として有望な水素化微結晶シリコン(μc-Si:H)薄膜および光導入窓層としての微結晶シリコンカーバイド(μc-SiC:H)薄膜における局在準位の評価手法を確立すること、局在準位密度の低減を実現すること、μc-Si:H薄膜とμc-SiC:H薄膜との接合形成技術の開発を行うこと、および、太陽電池への応用を目的としている。平成16年度は、[A],[B],[C],[D]に関して以下の研究実績を得た。 [A]および[C]:微結晶シリコン薄膜の太陽電池への応用を行った。μc-Si:Hとμc-3C-SiC:Hの接合形成技術開発の予備実験として、アモルファスSi_<1-X>C_X薄膜を光導入窓層として有するμc-Si:H系薄膜太陽電池を試作した。変換効率は4.25%に留まったものの、開放電圧は従来のμc-Si:H系薄膜太陽電池における0.5〜0.6V程度から0.83Vまで向上可能であることを明らかにした。 [B]ホットワイヤーCVD法によりμc-3c-Sic:H薄膜を作製し、その光吸収スペクトルを共振型光熱ベンディング分光法により評価した。光子エネルギーが2.2eV以上の領域では、間接遷移吸収を反映したスペクトルが得られた。一方、光子エネルギーが2.2eV以下の領域では、不純物による局在準位に起因すると考えられる光吸収を観測した。さらに20〜140℃の範囲で試料温度を変化させ、同方法により光吸収スペクトルを測定した。この温度範囲では、光吸収スペクトルの変化は観測されなかった。 [D]μc-3C-SiC:H薄膜における光吸収スペクトルについて、経時変化を調べた。製膜後約10ヶ月間、室温暗中にて大気暴露した試料において、局在準位領域での光吸収スペクトル変化は観測されなかった。 [B]の結果は、μc-Si:H薄膜における局在準位吸収の振る舞い(負の温度依存性)と異なっている。この原因のひとつとして、μc-3C-SiC:H薄膜に対する不純物の混入場所およびエネルギー位置が、μc-Si:H薄膜の場合と異なっているためと考えられる。
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Research Products
(6 results)