Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴田 浩章 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90253484)
濱田 秀則 独立行政法人港湾空港技術研究所, 材料研究室, 室長(研究職)
武若 耕司 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10155054)
添田 政司 福岡大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50148871)
近田 孝夫 新日鐵高炉セメント(株), 技術開発センター, センター長(研究職)
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Research Abstract |
高炉スラグ微粉末は長期材齢おいて潜在水硬性を発揮し,コンクリートの組織を緻密化させ,コンクリート構造物の耐久性を向上させるのに有効な混和材料であることが知られているが,混和率や養生条件が中性化速度,塩分浸透速度あるいは鉄筋発錆条件に及ぼす影響や,塩害と中性化,酸性雨と中性化などの複合劣化に関してはデータの蓄積が不十分である。 今年度は,塩害と中性化,および酸性雨と中性化の複合劣化を想定した促進実験を行い,昨年度までの実験結果とを比較し,考察を行った。また,近年,道路の凍結防止剤としての利用が増加している塩化カルシウムに対する劣化抵抗性についても検討を行った。その結果,以下のような結論を得た。 1.塩害と中性化の複合劣化試験の結果,水結合材比50%以上では中性化の影響により,コンクリート内部への塩分浸透が促進されること,全塩化物イオン濃度と可溶性塩化物イオン濃度との間には直線関係があること等を明らかにした。 2.酸性雨と中性化の複合劣化試験の結果,スラグ置換率が大きくなるほど中性化や鉄筋腐食速度が大きくなるが,初期養生を十分に行うことで抑制可能なこと等を明らかにした。 3.塩化カルシウム溶液への浸潰実験の結果,スラグ無混和の場合はスケーリングによる表面剥離現象を生じるもののスラグ混和により抑制可能であること,塩化カルシウム溶液を用いた場合も塩化ナトリウム溶液の場合と同様に濃度分布を拡散方程式で表現可能なこと等を明らかにした。 上記の他,初期ひび割れが中性化や塩分浸透に及ぼす影響,海洋環境曝露供試体の酸素拡散性状と鉄筋腐食の関係,表面改質剤による劣化抑制効果等についても検討した。また,塩分浸透モニタリングセンサの開発を行い,実験室レベルでは塩分浸透状況を検知可能であることを確認した上で,実構造物へ適用する際の問題点等について示した。
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