Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勉 神戸大学, 農学部, 教授 (20144602)
神谷 浩二 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50252119)
阿部 信晴 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10093361)
中屋 真司 信州大学, 工学部, 助教授 (70313830)
三田村 宗樹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00183632)
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Research Abstract |
1)低平地都市域における新たな地下水総合管理の方向について,健全な水環境,持続可能な地下水環境,低平沿岸都市における地盤災害(地盤沈下,液状化)・水利用(飲用水,危機管理用水,雑用水,環境用水),地下水政策などの観点から検討し,実施可能な地下水管理とモニタリングの制度的枠組みを規定した。 2)大阪平野の地下水情報データのフォーマットを統一し,地下水情報を視覚的にとらえることができるようにコンピュータ画面を利用してGIS(地理情報システム)とリンクさせた地下水情報データベースを構築した。また,地下水データベースの閲覧・活用するための専用のプログラムを開発した。このプログラムには,地図を使った観測点検索機能を中心に検索結果をグラフ表示する機能,数値データを表示する機能,検索した結果をファイルに保存する機能などが盛り込まれている。 3)大阪平野に分布する54箇所の井戸水,および涵養域の8箇所の表層水を採取し,主要溶存成分,酸素および水素の安定同位体比,塩素イオン濃度分布,主成分得点の空間分布に基づいて,地下水の流動経路や滞留時間の推定を実施した。また,帯水層構造や断層などの地質構造と地下水流動関係を評価し,地化学データの空間分布から上町台地が地下水に対して流動バリアとして働いていることを明らかにした。 4)統計学的な「単純モデル手法」に基づいて,大阪市域の浅い沖積層と深い大阪層群砂礫層のそれぞれでの観測地下水位の変動に対して,揚水量,降水量および潮位の影響度を分析した。そして,これら3要因の広域的な涵養・流出関系を特定化し,大阪平野での適正地下水位や揚水量のあり方への指針を与えた。 5)大阪平野表層部の沖積層(難波累層)の下位の最も新しい砂礫層は天満層と呼ばれているが,DIG(関西地盤調査情報データベース)を用いて,この砂礫層の分布や岩相層序について検討を行った。その結果,平野地下に埋没谷を充填する礫層の存在が明らかになった。従来天満層として一括して取り扱われてきた粗粒層について,細分が可能であり,大阪平野浅層部での地下水帯水層構造の見直しの必要性を指摘した。 6)大阪市域の浅層モデル地盤を対象として地下水位低下による粘土地盤の沈下予測を実施し,地盤のクリープ沈下・圧密履歴を考慮しうる弾粘塑性圧密解析手法を用いて顕著な地盤沈下を生じさせない地下水の適正揚水量を求めた。 7)適正化された3次元広域地下水涵養モデルを用い,観測水位に基づく初期水位分布の導入と適切な内挿検定により大阪低平地沿岸都市域における健全な水循環を基本として持続可能な地下水環境保全と新たな水資源確保に係わる地下水の総合管理に資する広域地下水シミュレーションシステムを構築した。
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