2002 Fiscal Year Annual Research Report
一時水域の動的保持機構とその河川生態系保全機能における役割に関する研究
Project/Area Number |
14350264
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻本 哲郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20115885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 誠一 岐阜経済大学, 経済学部, 助教授 (50308657)
鷲見 哲也 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50303673)
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Keywords | わんど / たまり / 一時水域 / 河道内伏流水 / 生物生息場 |
Research Abstract |
本年度は,次の3点について研究を進めた. 1.木曽川わんどの水交換形態の特徴と定量化 わんどを形成する周辺堆積域は,主に砂で出来ているが,感潮域では本川部およびわんど内表流水の水位変化に伴って,周辺堆積域との水交換が発生し,その流出水がわんど内表流水の水質や温度成層に影響を与える事が明らかになった.その量的な貢献度を推定するために,わんど堆積域内の伏流水位の時間変化と流出水の簡易な水温・水質計測を行い,わんど内表流水の平均貯留体積の約7%程度が伏流水と水交換していることがわかった. 2.たまりの水質を支配する砂州内水・物質輸送に関する調査研究 たまりは,一般に周辺が砂州などの堆積層に囲まれており,平水時はその伏流水との水交換によって水質を維持している.その基本的な影響を計る前段階として,砂州を伏流水する水の水質の形成について調べる為に,木津側12km砂州において,表流水・伏流水の流況(水位分布)計測と採水による水質計測を行い,植生のある砂州の方が水質への変質に影響を多く与えるものの,洪水後の水質は裸地砂州の方がクリアであることがわかった. 3.生活史を考慮した魚類の生息場の評価に関する研究 二次的な流路などの一時水域は,避難場や成長前の魚類の利用の場となりうるが,それを最終的に生息場の評価に取り入れるための手法を構築する必要がある.そこで,成長段階と様々な行動(定位・摂餌・産卵・洪水時避難・渇水時避難)の空間連続性と時間的な連続性を考慮した場の評価手法を,モデル河道において適用し,検討を行い,考慮しないモデルとの比較を行った.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田代喬, 加賀真介, 辻本哲郎: "個体群動態モデルの生息場評価手法への導入に関する基礎的研究"土木学会水工学論文集. 第47巻. 1105-1110 (2003)
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[Publications] 辻本哲郎, 北村忠紀, 加藤万貴, 田代喬: "堤撹乱礫床での大型糸状藻類の異常繁茂のシナリオ"土木学会河川技術論文集. 第8巻. 67-72 (2002)
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[Publications] 田代喬, 伊藤壮士, 辻本哲郎: "生活史における時間的連続性に着目した魚類生息場の評価"土木学会河川技術論文集. 第8巻. 277-282 (2002)
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[Publications] 鷲見哲也, 片貝武史, 辻本哲郎: "木津川の伏流環境と関連した水質特性"土木学会河川技術論文集. 第8巻. 185-190 (2002)
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[Publications] 鷲見哲也, 鷲津善之, 辻本哲郎: "木曽川わんど部での水域・堆積域間水交換"土木学会河川技術論文集. 第8巻. 371-376 (2002)