2003 Fiscal Year Annual Research Report
次善(セカンドベスト)経済における交通施設整備の便益評価に関する研究
Project/Area Number |
14350273
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森杉 壽芳 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80026161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 一彦 神戸大学, 海事科学部, 講師 (60282034)
上田 孝行 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20232754)
赤松 隆 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (90262964)
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Keywords | 次善経済 / 環境の外部性 / ヘドニックアプローチ / TCM / small-open |
Research Abstract |
本研究は,次善要因を考慮できる交通施設整備の便益評価手法の開発を目的としている.今年度については次善要因として環境外部性に着目して分析を行った、a)環境外部性の計測は,CVMあるいはTCM,ヘドニックアプローチによる計測が提案されている.しかし,CVMは顕示された行動に基づかないため信頼性に疑問がある.TCMは訪問するような財のみに適用可能である.ヘドニックアプローチの場合は,small-openの仮定(あるいはKanemoto(1988)で示された仮定)が必要である.本研究では,プロジェクトが大きく,small-openが成立しない場合の環境質の価値を計測する手法を開発した.具体的には時系列の地価変化を用いて計測する手法である.その手法を仙台市の生活道路の便益計測に適用し,実証的なパフォーマンスについて検討した.この方法は用いる変数がヘドニックアプローチに比べて少ないため,多重共線性を避けることが可能といった利点を有している. b)環境の外部性を計測する手法として,TCMがある.この手法は顕示選好データから便益を計測できるという利点を有している.しかし,環境の外部性(例:公園等)を計測するためには,訪問することに対する最大支払い意思額を知る必要がある一方,実際に顕示されたデータは旅行費用に関する需要関数である.すなわち,現在のTCMでは旅行費用と最大支払い意思額が代替可能と暗黙裏に仮定されている、しかし,公園が複数ある場合,この仮定は成立しない、本研究では公園が複数ある場合について,上記で示した現在のTCMの問題点の指摘とその改善方法の提案を行った.さらに,TCMに用いる旅行費用変化による需要関数は,旅行費用変化による価格ベクトルの変化を考慮していない.特に,地価は大きく変化するため,この変化を考慮したTCMとする必要がある.これらの考慮方法についても本研究で提案した.
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 風間聡, 森杉壽芳, 澤本正樹: "便益計算を用いたメコン河洪水氾濫総合評価の試み"水工学論文集. Vol.47. 367-372 (2003)
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[Publications] 岸昭雄, 河野達仁, 森杉壽芳: "核一周辺モデルにおける交通施設整備の便益計測-複数均衡存在下におけるプロジェクトの便益計測にむけて-"土木計画学研究・論文集. Vol.20, No.1. 97-104 (2003)
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[Publications] Hisa Morisugi, Enrique Alarcon, Akio Kishi, Tatsuhito Kono: "A Sensitivity Analysis on Value of Information for Logit Type of Route Choice"土木計画学研究・論文集. Vol.20, No.4. 913-922 (2003)
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[Publications] So Kazama, Hisa Morisugi, Masaki Sawamoto: "Integrated Evaluation of the Mekong River Flood Using Benefit Calculation"Journal of Hydroscience and Hydraulic Engineering. Vol.21,No.2. 85-92 (2003)
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[Publications] Takashi Akamatsu, Benjamin Hevdecker: "Detecting Capacity Paradoxes in Dynamic Traffic Assignment in Saturated Networks"Transportation Science. Vol.37, No.2. 123-138 (2003)
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[Publications] 長江剛志, 赤松 隆: "不完備市場リスク要因を考慮したリアル・オプション評価"応用地域学研究論文集. Vol.8, No.2. 81-93 (2003)
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[Publications] 赤松 隆, 長江剛志: "経済リスクを考慮した社会基盤投資プロジェクトの動学的財務評価"土木学会論文集. No.751, IV-62. 39-54 (2003)
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[Publications] Shinichi Muto, Akiyoshi Takagi, Takayuki Ueda: "The Benefit Evaluation of Transport Network Improvement with Computable Urban Economic Model"Selected Proceedings of the 9th World Conference on Transport Research. (CD-R). (2003)
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[Publications] Kazuhiko Ishiguro, Tomoki Ishikura, Shinya Hanaoka, Hajime Inamura: "Development of Multi-regional Computable General Equilibrium Model Taking Account of Ocean Cariiers' Bchavior and Scale Economy"Journal of the Eastern Asia Society of Transportation Studies. Vol.5. 2733-2742 (2003)